• 『機動戦士ガンダム』の音にリスペクトを捧げた『閃光のハサウェイ』
  • 『機動戦士ガンダム』の音にリスペクトを捧げた『閃光のハサウェイ』
2021.06.13

『機動戦士ガンダム』の音にリスペクトを捧げた『閃光のハサウェイ』

音響にも新たな挑戦が試みられた『閃光のハサウェイ』 (C)創通・サンライズ

『機動戦士ガンダム』40周年作品として制作され、現在劇場公開中のガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。
本作は、これまでのガンダム作品にはなかった没入感の高い演出がポイントとなっている。それを踏まえ、観客を『閃光のハサウェイ』の世界へと誘う重要なポジションを担った音響演出・笠松広司さんにインタビューを敢行、前編となる今回は『閃光のハサウェイ』の音響演出がこれまでのガンダム作品を踏まえ、どのように生まれたのかを語っていただいた。
▲音響演出を担当した笠松広司さん。

――笠松さんはスタジオジブリ作品の音響演出を数多く手掛けているという印象ですが、サンライズ作品は久しぶりの参加では?

笠松 そうですね。サンライズさんの作品は『∀ガンダム』で音響効果として参加させていただいたことがありますが、それ以来になります。

――『閃光のハサウェイ』はどのような経緯で参加されたのでしょうか?

笠松 村瀬(修功)さんからお誘いいただきました。以前、別の作品でも声をかけていただいたことがあったんですが、当時は他の作品にかかり切りだったのでお断りしてしまったことがありまして。それにも関わらず、またお声がけいただいたので、これはお引き受けしなければと思いました。その理由については聞いたことがないのですが、きっと僕のこれまでの仕事の中に、村瀬さんが望む何かがあったんだと思います。

――『閃光のハサウェイ』は、映像的にも音響的にも「没入感の高さ」が演出の大きなテーマであるように感じました。音響演出に関しても、最初から没入感を意識したオーダーなどがあったのでしょうか?

笠松 音響的に最初から言われていたのは「ペーネロペーの音にはこだわりたい」ということでしたが、その一方で、全体の音響的な要望に関して、事細かく言われるようなことは特になかったです。他の作品と同様、こちらの判断で音付けしたものを1回聞いていただいて、そこから演出意図に合わせて調整していくという感じで進めていきました。
▲村瀬監督はペーネロペーの音にこだわった。

――笠松さん自身は、これまでの『ガンダム』作品の音響について、どのような印象をお持ちだったのでしょうか。

笠松 特にガンダムシリーズの原点である『機動戦士ガンダム』ですが、大人になってこの仕事に就いて、改めて本編の音を聞いてみると天才的な音響だと感じました。既に作品そのものは高い評価を受けていますが、こと「音」だけを取ってもかなりクオリティが高いですね。

――それはどのような点が?

笠松 我々のような音を付ける仕事をしている人間はハリウッドの映画や海外音楽からの影響、またそれに対する憧れというのが大きくて、仕事をする中で「あんな風にしたいな」とつい引っ張られてしまうことが多いんですね、かく言う僕もそっち系のタイプなんですが(笑)。でも、『機動戦士ガンダム』の音には、そういう匂いが一切しない。あれこそがまさに日本特有のアニメーションの音ですし、あのスタッフたちでなければきっと出せない特別な音だと思うんです。現在のハリウッドのテクノロジーで音を付けても、おそらくああはならないし、ましてやあれを越えることはできないはずです。そういった面でも、『機動戦士ガンダム』はもっと評価されてもいいと思っています。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部