• 『機動戦士ガンダム』OVA3作が深化させた宇宙世紀の戦場のリアル
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2021.08.24

『機動戦士ガンダム』OVA3作が深化させた宇宙世紀の戦場のリアル

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS


1996年にはOVA第3作目『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』が発売された。本作最大の特徴は、『機動戦士ガンダム』のホワイトベースの物語と並行した時間の中、まったく別の形で活躍していた名もなき陸戦モビルスーツ部隊にスポットを当てていることだろう。

舞台となるのは、一年戦争中期のジオン公国の要衝のひとつである東南アジア地区。そこは新兵器開発が行われているジオンの鉱山基地と地球連邦軍の前線基地が接近した激戦地域となっていた。第08MS小隊とは、連邦軍前線基地に配備された機械化混成大隊――通称コジマ大隊所属のモビルスーツ運用部隊である。
08MS小隊の新任隊長として地球に向かう途中のシロー・アマダは、ジオン公国軍の女性テストパイロット、アイナ・サハリンと出会い、敵同士ながらも一緒に生き抜かなければならない状況を経験。この出会いからシローとアイナは恋愛関係となるが、敵味方である二人には大きな困難が待ち受けることになる……。
▲『第08MS小隊』よりアイナ(左)とシロー。

陸戦部隊の編成や前線基地の様子など、第二次大戦を舞台とした戦争映画やドラマの雰囲気を感じさせる作劇に、「戦場のロミオとジュリエット」とも言える恋愛ドラマが加えられたことで、これまでのガンダム作品には無い新たな方向性を提示した。また、ガルマの葬儀やオデッサから撤退するジオン兵との戦闘なども描かれており、『機動戦士ガンダム』とは別の角度からの一年戦争を知ることができるのもポイントだと言えるだろう。
後に制作される『機動戦士ガンダム MSイグルー』シリーズは、本作を下敷きにミリタリー要素をさらに強調して描いた作品であり、そういう意味でも本作がガンダムワールド拡大のひとつの試金石となっていたことは間違いない。
▲『MSイグルー』はフル3DCGのハードな戦争描写が話題に。

3つのOVAシリーズは、「ジオン軍VS地球連邦軍」という作品背景の解釈や表現、劇中の歴史の捉え方など、ガンダムの世界観の幅を大きく広げ、ファンの裾野を大きく開拓していった。その目線はしっかり次世代の作品にも引き継がれているだけに、今後も新たな視点を持つ外伝作品が生まれることに期待したい。

>>>ガンダムOVAシリーズ3作の場面カット・ソフトパッケージを見る(写真29点)

C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

アニメージュプラス編集部

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