• イメージを守りつつ自分が演じる意味のあるゾフィーに 武内駿輔インタビュー
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2022.04.28

イメージを守りつつ自分が演じる意味のあるゾフィーに 武内駿輔インタビュー

(C)TSUBURAYA PRODUCTIONS


◆カッコいいだけでなく奇妙な生物にも見えるように◆

――演じる以前のゾフィーの印象は?

武内 ウルトラの父とウルトラの母、弟たちの間に立ってウルトラ兄弟をまとめる、強靭な人というイメージがありました。ネタにされている一面もあったりしますけど、僕が憧れるウルトラマンたちが尊敬する、すごい人だと純粋に思っていましたね。なので、『大いなる陰謀』でオファーをいただいたときはとても嬉しかったです。

――ゾフィーはこれまで浦野光さん、田中秀幸さんなどさまざまな方が声を演じられてきました。ご自身が演じるにあたって、過去のゾフィーの出演作を振り返ったりしましたか?

武内 そうですね。人気、実力ともに素晴らしい先輩方の演技や、ファンの皆様が抱いているゾフィーに対するイメージを壊さず、守り続けたいと思い、外伝なども視聴しました。でも、これまでのゾフィー役の方々と比べると、僕の年齢はかなり下なんですよ(笑)。だから、変に年齢感を取り繕わず、今の自分自身の中にある後輩を思いやる気持ちや厳しく仕事に臨む姿勢を、ゾフィーの長男としての気持ちに重ねて演じようと収録に臨みました。背伸びをしすぎず自然に演じることで、僕が演じる意味のあるゾフィーにしていければと考えています。

――『大いなる陰謀』で初めてゾフィーを演じるにあたり、ほかに意識されたことは?

武内 掛け声をどう演じるかは苦労しました。昭和のころのゾフィーの掛け声はウルトラマンとあまり変わらないので、差別化していくチャンスと感じつつ、ただカタカナの日本語で「シュワ!」と叫ぶのは違うとも考えていて。僕の中のウルトラマンは戦うときは人間らしくない、宇宙人っぽい声を出すイメージがあり、それを普通にカッコいい掛け声にするのは「もったいない」と思ったんですよ。奇妙な生物としても見えるように、過去のウルトラマンの声を聴いたり、モノマネをしたりして準備しました。

――ウルトラマンの声を演じてきた方は、皆さん掛け声で苦労したとお話されています。

武内 新しいウルトラマンだったら「これがこのウルトラマンの掛け声です」とできますけど、ゾフィーは初代からいるヒーローなので余計に難しいところもあって。でも、それが昔からいるキャラクターを受け継ぐことの楽しさでもあるのかなと感じています。

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◆『運命の衝突』はウルトラマンをより好きになれる作品◆

――『運命の衝突』でゾフィーの演じ方に変化はありましたか?

武内 『大いなる陰謀』を視聴したファンの方のリアクションを見ることができたので、演じるビジョンが固めやすくなったと思います。好意的な意見だけでなく、批判的な意見の中にも同じファンとして納得できるものがあって、大変参考になりました。そういった声に背中を押されて、ゾフィーを演じる責任を持って、さまざまなアプローチを探っていこうという意気込みが生まれましたね。

――台本や収録時の映像を観た感想は?

武内 『大いなる陰謀』もそうでしたが、昔だとウルトラ兄弟がとりあえず集まって戦っていたところを、一人一人の戦う理由を描いているのは今だからこそできるお話だなと。過去の物語や設定をなかったことにせず、ロジカルに整理していることもよく練られたシナリオだと思いました。そして今作も特撮がすごい! カメラワークの力でとても迫力のある映像になっていて、グリーンバック撮影なのに色味などで違和感をほとんど覚えないのが素晴らしいです。この作品が日本で作られていて、そこに自分が関わっていることを光栄に感じます。

――今作では、櫻井孝宏さんや関智一さんといった人気声優の方々がウルトラ兄弟を演じることも話題となっています。

武内 日ごろお世話になっている先輩方とウルトラ兄弟を演じられると知ったときはとても嬉しかったです。アフレコはご一緒できなかったのですが、ほかの兄弟たちの声を聴きながら収録できたので、楽しく演じられました(笑)。

――今後ゾフィーを演じていく中で挑戦したいことは?

武内 実際に演じたことで、ゾフィーの中には強さやカリスマ性だけでなく、仲間を想う優しさが見え隠れしていると感じたので、そういった一面と向き合い、演技に乗せていければと思います。あとはぜひゾフィーが主役の作品を作ってほしい!

――ゾフィーはいまだに謎な部分が多い人物ですからね。

武内 そうなんですよ。せっかく若いゾフィーのスーツがあるから、ゾフィーがどんな成長を遂げてきたのか描くお話は観てみたいです。昔アニメでやっていたような、ウルトラ兄弟の日常ものみたいなゆるいお話も、今実写でやったら面白いと思います(笑)。

――武内さんが考える、ウルトラマンシリーズ最大の魅力は?

武内 一つだけ挙げるのであれば、デザイン性の高さではないでしょうか。ウルトラマンやウルトラ怪獣は、いつ見ても古めかしさのない独創性がありながら、時代に合わせて変化をさせやすい普遍性の高さも持ち合わせていると思うんですよ。どのウルトラマンを見ても「ウルトラマンだ」とわかるというか。怪獣にしても『大いなる陰謀』に登場したゼットン軍団のように、パワーアップ版が出しやすい。そこがほかのヒーロー作品にはない魅力ではないかなと。もちろん、戦いの時間制限や腕を十字に組んだら光線が出てくるというアイデア、ストーリーの秀逸さも素晴らしいと思います。

――最後に、ファンへ向けてメッセージを。

武内 近年のウルトラマンシリーズは、旧作のファンを裏切らずに、新しいウルトラマン像を創出する取り組みをしていると感じています。今作もその中で生まれた、よりウルトラマンのことが好きになれる作品だと思うので、ぜひ配信を楽しみにしてください!

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アニメージュプラス編集部

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