多田監督からは、さらに同じシーンの別の見どころも紹介。
多田 ケンプの子どもが飛び跳ねている絵がすごく上手いんです。ふんわりした感じとかが良くて、動きだけで泣けます。
わずか数秒のシーンだが、2回、3回と観てくれる人に注目して欲しいとのことだった。
次に紹介されたのは、第38話で、敗戦を報告しに来たミュラーに、直前まで激昂していたラインハルトが「卿に罪はない」と告げたときの、オーベルシュタインとキスリングのリアクションの差。細かな表情の描写が注目のポイントだ。
多田 絶対にミュラーを許さないつもりだったラインハルトが、急に許すと言うところなのですが。我々は、ラインハルトがキルヒアイスと語らうことで冷静さを取り戻した場面を見ているんですけれど、(キスリングたち)周りの人間は見ていない。だから、キスリングは分かりやすく『え?』ってリアクションをしてるんです。でも、オーベルシュタインはまったく表情を変えない、その対比が面白かったので選んでみました。
磯部さんが紹介した第38話のルパート、ロイエンタール、ユリアンのアップのカットも、表情の細かな描写が見どころのカットだ。
続いて多田監督は、第三十九話で、キャラクターデザイン&総作画監督の菊地洋子さんが描いたアンネローゼを取り上げて、その上品な美しさを大絶賛。磯部さんは、アンネローゼとヒルダの髪型や服装の変化へのこだわりも見て欲しいと語った。
その他にも、多田監督からは、オーベルシュタインの夕食の描写や、ランズベルク伯アルフレッドの人物像の描き方へのこだわりが語られ、磯部プロデューサーからは、第40話のレイアウト(コンテを元に描かれる各カットの設計図のようなもの)は、『銀河英雄伝説』を大好きな一人のアニメーターによってすべて描かれたことが紹介された。通常は20人~30人で分担する作業量を、なんと一人でこなしたそうだ。
見どころを語った後の告知コーナーでは、来週以降に開催されるスタッフトークも紹介。
最後に、多田監督と磯部プロデューサーから会場のファンへのお礼の挨拶が述べられた。
磯部 何度も観てくださいというには、ちょっと心に来るお話が多いところではありますが、第一章、第二章、第三章と始まっていきますので、引き続き応援いただけると幸いです。本日はありがとうございました。
多田 今日、初日を迎えて本当にホッとしております。テレビフォーマットで話をすると第三章までで第48話になります。すでにかなりの本数に達しておりますが、新書版の原作(本伝全10巻)で言うところの第4巻までしか来ていません。あと、6巻あるんです(笑)。
大作長編映画のようなつもりで、本当に心を込めてスタッフが作っておりますので、第二章、第三章まで引き続き、映画館に足を運んでいただけると本当に嬉しいです。今日はありがとうございました。
客席からの大きな拍手に送られて、登壇者の二人は退場。ファンにとって、さまざまな発見もあった初日舞台挨拶が終了した。
第二章は10月28日(金)より上映開始! こちらもぜひお楽しみに。
★第二章予告映像>>>イベントの様子、第二章予告映像場面カットを見る(写真16点)(C)田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会