• 『グレート合体愛蔵版 すごい科学で守ります!』長谷川裕一の特撮愛!
  • 『グレート合体愛蔵版 すごい科学で守ります!』長谷川裕一の特撮愛!
2022.11.09

『グレート合体愛蔵版 すごい科学で守ります!』長谷川裕一の特撮愛!

(C)テレビ朝日・東映 (C)テレビ朝日・石森プロ・東映 / (C)長谷川裕一



『グレート合体愛蔵版 すごい科学で守ります!』の著者である長谷川裕一氏、担当編集であるNHK出版・高原氏に、『すごい科学で守ります!』シリーズについてうかがってみた。

──元々の3冊をお書きになろうと思われた経緯、当時の状況などを教えてください。

<長谷川>
元は名古屋のSF大会でこの題材でトークショーを開いていたのです。
戦隊シリーズは、特撮の進化と超合金の進化の過程があるので、そこから、一本の歴史につむげるのではないか?と、思ったのです。
まあ、ぶっちゃけ、大人オタクがやる遊び、ですね。「本にしましょう!」というのは、NHK出版さんのほうで(笑)。

でも、当時戦隊シリーズは、東映が子供向けのスタンスを堅持しながら作っていたためか、大人になった特撮ファンからはやや、ひくく見られる傾向があったのですが、ドラマも特撮もいいのに、もったいない、と思っていたので「設定を補完した書物が出たら見てくれるかも?」と思ったのが、出版に踏み切る動機の一つではあります。
2冊目以降は声援にこたえる形で、世界観を広めてゆきました。

<担当編集 高原>
名古屋のローカルコンベンションで「すごい科学」を見た知人から、「長谷川先生のあの企画、実に面白かったよ。あれ、本にした方が絶対にいいよ」と強く勧められ、広島の全国大会でも長谷川先生がお話しになるというので、拝見しました。これが特撮成分ほぼゼロの私が見ても、抱腹絶倒の1時間半だったのです。そして「これを本にして遺さなくては人類の文化の損失だ」と真面目に考えました。

商業出版でやるなら東映さんに許諾もらって権料支払わなくては絶対ダメでしょ、と思い、お願いに行きました。その後、口述筆記のためのトークショーを開くことになり、アニメージュさん本誌でも告知していただいたこと、今でも感謝しています。
トークショーから3か月で長谷川先生にあれだけの点数のイラストを描きつつ原稿も整えていただき校了したのは、先生も私も若かったからできたことかなあと思います。

2冊目、3冊目は読者のみなさんのお声に応えるかたちで企画にしました。2冊目『もっと』の刊行日は2000年のSF大会開催日に合わせ、ちょうど長谷川先生が『TVチャンピオン』で優勝された直後だったので、凱旋パレードをやって「暗黒星雲賞」を受賞されたのもいい思い出です(笑)。その翌年には『もっと』は星雲賞そのものも受賞しています。
それにしても、最初の刊行時は「NHK出版からこれ出すの?」と東映さん含め社内外から驚かれたものですが、四半世紀経って、もはやそこには誰も引っかからないというのが、隔世の感もありますね。

──今回、なぜ合本で復刊されようと思われたのでしょうか?

<長谷川>
いや、それはNHK出版さんの方で(笑)。
でも、たまに、後から知ったファンから「欲しいけど手に入らない!」という声が、こちらにも届いておりましたのでうれしかったです!

<担当編集 高原>
ここ数年特に、何か映像フィクション作品で誰かが無粋なことをSNS等で発言するたびに、全然関係ないところでも「『すごかが』を読め」という発言を見かけることがとても多くなっていたと思います。その割に、概念としての『すごかが』は知っていても、本そのものは入手できなくなっていたので、ここは復刻すべきだろうと思いました。そしてせっかく出すのなら、長谷川先生のまんが家デビュー40周年を飾る豪華な体裁で「合体」させたいな、と。

今回は誰が呼んだか本の名は……ということで、みなさんがいつの間にかつけてくださった愛称『すごかが』を胸に輝くMマークのように自ら掲げています。
今回の『グレート合体愛蔵版 すごい科学で守ります!』では、熱さと厚さを同時に体感していただければと思います。長谷川先生によるクリエイターズ・バイブルだとも思います。

──複数の作品中のキーワードや要素を組み合わせて新たな物語を紡いでいくのは長谷川先生のお得意とするところだと思うのですが、『すごい科学で守ります!』シリーズの中で、先生自身が、組み合わせを思いついた(見つけた)際に最もテンションの上がった考察はどれでしょうか。

<長谷川>
宇宙由来の戦隊のメカにいくつかの傾向があることに気づいて、文化圏分けができるっ! と思ったあたりでしょうか? 「デンジ推進システム」や「広域クル文化圏」など(笑)。

(注)
「デンジ推進システム」
『電子戦隊デンジマン』のデンジファイター(巨大ロボ・ダイデンジンの変形状態)のように、空力上飛行が難しいと思われる厚みのある三角形の機体を飛行させるシステム。
長谷川氏は『超電子バイオマン』のバイオジェット、『鳥人戦隊ジェットマン』のイカロスハーケンなども同じ推進システムを使用していると考察。

「広域クル文化圏」
『激走戦隊カーレンジャー』のレッド~ピンクビークルのように、宇宙船を巨大な自動車型で建造してしまう文化圏。
名前の由来は『カーレンジャー』劇中の「クルクルクルマジック」という言葉から。

(C)テレビ朝日・東映
(C)石森プロ・テレビ朝日・東映
 ────────────
(C)長谷川裕一

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事