• 『DEATH NOTE リライト2』鬼才・荒木哲郎の出発点に見る魅惑の演出術
  • 『DEATH NOTE リライト2』鬼才・荒木哲郎の出発点に見る魅惑の演出術
2022.11.05

『DEATH NOTE リライト2』鬼才・荒木哲郎の出発点に見る魅惑の演出術

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ


新鋭・荒木監督の冴え渡る感覚

荒木演出といえば、多くの人は『進撃の巨人』の立体機動に代表される圧倒的にダイナミックでスピーディーなアクションを思い浮かべるのではないだろうか。
大胆なカメラワークを駆使しながらもキャラクターにしっかりと焦点をあて、アクションに込められたエモーションを最大限に観客に伝えるのが荒木演出の真骨頂だ。

『DEATH NOTE』はいわばその出発点とも言えるが、しかし、本作は決してアクションに重点が置かれる作品ではない。
ストーリーのメインは月とLが、そしてニアやメロが繰り広げる頭脳戦。デスノートの独自の “ルール” に則った駆け引き、裏のかきあい、騙し合いから生まれるスリルとサスペンスが『DEATH NOTE』の魅力だ。
それを荒木哲郎という演出家が映像にすることで生まれる化学変化こそが、アニメ『DEATH NOTE』の観る上での最大のポイントであり、面白さの “秘密” でもある。

ノートに殺したい相手の名前を書く。
これがいわば(そして「まさに」)月にとっての “必殺技” であり、作中でも大きな見せ場となる。
そこで荒木は、月がデスノートに書き込むシーンをケレン味たっぷりに演出する。
荘厳な劇伴に合わせて大胆にカメラを動かし、ペンを走らせる月の動きもオーバーアクションで描き、ノートに文字を書くだけの行動がまるで戦闘シーンのように表現される。
それによって、スリリングであると同時に突き抜けたコミカルさやユーモラスさえも感じさせ、それでいて「月という人間が今、まさに人を殺している」という事実を強烈に印象づける。

非アクションをアクションとして演出することで生まれる強烈な違和感を、フィルムのエネルギーに昇華することで荒木は、『DEATH NOTE』の原作が秘めていたポテンシャルをさらに増幅し、観客に伝えたと言えるのではないだろうか。
今回の『DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者』を通じて、そんな荒木演出の魅力をたっぷりと堪能してほしい。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ

アニメージュプラス編集部

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