――デザインで特に苦労したキャラクターといえば、誰になりますか?モグモ うーん……みんなすごく時間がかかっていますし、苦労しました(笑)。でも、やっぱりスレッタですかね。主人公ですし、シンプルだけど記憶に残るデザインを小林監督と話して考えていきました。
最初に描いた自立しているキャラクターのイメージがどうしても抜けなくて、キャラ設定が変わっていく中でそこに合わせていくのが大変でした。田舎から来た素朴な感じを持ち、外見は地味だけどやる時にはやる芯の強さを持つ少女――そのイメージを今の形に固めるのに半年以上かかりましたね。
――その甲斐あって、一目見たら忘れられないキャラクターに仕上がっていると思います。ちなみに、モグモさんがキャラクターデザインを手がける際には、どういった作業から始められるのでしょうか。モグモ 自分は外見の情報だけ貰って作るのは苦手なんです。まずキャラクターの性格や内面を掘り下げていって、そのキャラの役割――悪役だったり「一見咬ませ犬っぽいけれど後々活躍するキャラ」などといったメタ的な要素も含めて考えていって、例えばシルエットだったり服装だったりといった「そのキャラクターのセールスポイント」ともいえるフックをひとつ決めて、そこから作業を進めていきます。それを探していくのは大変でもありますが、すごく楽しい時間でもあります。
――作業を進めていく中で、モグモさん自身の中での「ガンダムらしさ」「求められる新しさ」に関して、何か基準になるものはあったのですか。モグモ そこはあまり考えないようにしましたね。それらを意識してしまうと、どうしても過去作に引っ張られてしまうので。
――むしろ「魔女」などのキーワードに寄せて作業を進めていった?モグモ そうですね。時々過去のガンダム作品をなんとなく思い浮かべながら、「これはやりすぎかな」とか「もっと尖らせた方が良いかも」といった事も考えたりもしましたが、一番は『水星の魔女』の世界観にハマるかどうかという点を意識していました。
――ご自身の中で印象的だったガンダム作品は何になりますか。モグモ 初めてちゃんと観たのは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』で、個人的に好きなのは『機動戦士ガンダム00』や『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』とかですね。特に『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』は、主人公が直接戦わない分、日常を取り巻く不穏な状況がリアルに伝わってきましたし、主人公の無力感や切なさがとても身近に感じられて、ガンダムの世界観が好きになっていったキッカケの一つになってる気がします。
ガンダムシリーズ全体を通しての印象ですが、関わっているクリエイターの方たちの「これが面白いんだ、カッコイイんだ」という揺るぎない自信みたいなものが作品に詰め込まれている気がするんですね。そこがガンダムシリーズの大きな魅力なんじゃないかと思います。
――確かにどの作品も時代に取り残されず、語られ続けていますものね。モグモ ええ、普遍的に残っていくものになっていますよね。それは本当にすごいことだと思います。
――では最後に、『水星の魔女』という作品にモグモさんは今後どんな期待をしたいと思っていますか。モグモ 今回は新しいガンダムということでいろいろなチャレンジをしています。ある意味、これまでのシリーズからの転換点でもあるし、新しいガンダムファンの入口になってくれる作品になってくれるんじゃないかと思っています。また、自分のキャラクターをきっかけにして『水星の魔女』に興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
>>>『水星の魔女』スレッタ、ミオリネほか魅力的なキャラクターたちを見る(写真36点)(C)創通・サンライズ・MBS