• 『アークナイツ 黎明前奏』監督が描く「瞬間を生きる登場人物の輝き」
  • 『アークナイツ 黎明前奏』監督が描く「瞬間を生きる登場人物の輝き」
2022.12.02

『アークナイツ 黎明前奏』監督が描く「瞬間を生きる登場人物の輝き」

(C)Hypergryph / Studio Montagne


――アニメ作品としての本作の「売り」は、ズバリどんなところにありますか。

渡邉 これは既に色々な場面で宣伝させていただいている内容ですが、5.1chサラウンド対応など、想定する視聴環境にかなり力を入れて制作させていただきました。アニメのシリーズ作品ではあまり例のないことと思うので、とても強い売りになっているのではないかと思います。

また、演出的な観点としてですが、あえて直接的には示さず暗喩や婉曲によって表現するという原作シナリオの特徴を取り入れています。
例えば二つ目のキービジュアルでアーミヤとドクターの左右に配置されている瓦礫の山や、1話のラストシーンで用水路を流れていく生活用品の残骸は死体のメタファーとして組み込んでいたりします。
そういった比喩表現がしばしば配置されたりしているので、色々想像しながら観ることでより作品を楽しんでいただけるのではないかと思います。

――制作している中で「アークナイツ」の世界観のどんなところに魅力を感じますか。

渡邉 登場人物たちの背後に、常に大きな不可抗力とでも言うべき何かが横たわっているという点だと思います。

フィクションの作品では、最後には主人公が解決できる(してくれる)んじゃないかという希望があったり、どこかに救いがあるんだろうといった、ある種の「保証」のような感覚を伴って描かれることが多いと思います。或いは「安心」と言いかえてもよいかもしれません。
ですがこの作品にはその「保証」や「安心」が必ずしも用意されているわけではありません。一寸先は闇のまま登場人物たちは先へ進みます。間違った方角へ進んでいるかもしれないし、進んでも何も得られないかもしれない。

それでも歩き続けなければならず、だからこそ全ての場面が登場人物たちにとって大切な時間で、そのひとつひとつの瞬間を必死で生きているさまを描くことは、とても魅力的なことなのだと思います。

――物語後半で、ぜひ注目してほしいポイントがありましたら教えて下さい。

渡邉 少しずつ登場人物も増えてここから関係性がより複雑になってゆき、キャストの皆さんの素晴らしい演技を沢山見ることができると思います。
舞台も変わり、スラム街などそれぞれの場所の映り方や効果音・BGMもシチュエーションに合わせて少しずつ変化していくので、注目してみてください。

また、1話から展開の種を少しずつ蒔きつづけていて、キャラの描き方やセリフのひとつひとつが最終回に向けて収束していきます。
序盤話数の時点では、原作を知る人と知らない人で作品の見え方が大きく異なっていたと思いますが、そのギャップがおそらく最終回を迎える頃には埋まり、原作をプレイしている人もアニメだけを見ている人も大体同じような顔のまま観終えることになるのではないかと思います。是非最後までご覧ください。

――改めて、渡邉監督にとってTVアニメ「アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】」という作品はどのような存在でしょうか?

渡邉 自分が持っている引き出しの中の暗い部分を全力でぶつけさせてくれる作品です。
その分、気を抜いたらすぐに握りつぶされてしまうような大きな存在だと思います。

――今後の物語を楽しみにして下さっているファンの方々へ一言お願いいたします。

渡邉 いつも『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』をご視聴いただきありがとうございます。
テラの大地はとても非情で、ドクターやアーミヤが対峙する現実は厳しいものばかりですが、皆さんに最後まで見届けていただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。

>>>過酷な世界で戦い続ける『アークナイツ黎明前奏』のキャラクターたちをチェック!(写真27点)
(C)Hypergryph / Studio Montagne

アニメージュプラス編集部

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