• 鈴木敏夫が『アニメージュとジブリ展』で語りつくした「出発点」と「現在」
  • 鈴木敏夫が『アニメージュとジブリ展』で語りつくした「出発点」と「現在」
2022.12.31

鈴木敏夫が『アニメージュとジブリ展』で語りつくした「出発点」と「現在」

(左より)オープニングイベントに登壇した鈴木敏夫プロデューサー、写真家のカンヤダ・プラテンさん (C)Studio Ghibli


また本展示開催に合わせて、カンヤダさん撮影による「KANYADA、ジブリパークをゆく」という小冊子が完成。これは宮崎駿監督が開園前のジブリパーク訪問時に同行した記録で、ジブリパークの施設や風景と共に、そこに佇む宮崎監督、そしてジブリパーク監督の宮崎吾朗さんの姿を捉えた貴重な内容となっている。

カンヤダさんが当日の様子を「宮崎監督の写真がちゃんと撮れるか緊張しましたが、とても明るく優しい方だったので安心しました」と話すと、「それは勘違い(笑)。でも、あの日は楽しそうだったよね。ジブリパークに到着したら吾朗君が案内してくれたんだけど、これが絶妙なやり方だったんですね。『子どもの街』っていう子ども向けのエリアから紹介したら喜んで、『これは良いよ、素晴らしい!』と素直に褒めて『(ジブリパークには)絶対に手を出さない、俺が作れないものがそこにあるから』という感想が出ました」と、宮崎監督のジブリパークの印象を伝えた。
▲展示の最後には、カンヤダさんがジブリパークで撮影した写真の展示コーナーも。

「アニメージュとジブリ展」松屋銀座会場では展示・物販内容がバージョンアップされているが、鈴木プロデューサーからは「アニメージュではいろんな人物について作品を通して追いかけてきたんだけれど、今回の展示は人の扱いが大きくないよね。宮崎駿個人の展示がこれまで日本でできていないのは、周りが気を遣っているからなんですよ。今回、名前を大きく使える良いチャンスなんじゃないですか?」と、まさかのダメ出しが飛び出した。

ここからは質疑応答の時間に。
宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』についての質問に鈴木プロデューサーは「いつもは公開直前に完成するんですが、今回はもっと前にできますよ」と答え、さらに何らかの新情報はないのかと問われたところ「僕も本当に考えたんだけど、何も情報がない方が皆さんの楽しみが増える。だから今回はそれを貫きます。『スラムダンク』(『THE FIRST SLAM DUNK』)見ててもそうでしょう、あれ、頭いいなと思ったんですよ。勉強になりました」と、あえて前情報を出していかない姿勢を明らかにした。

今回の展示からキービジュアルをカンヤダさんが描いたネコバスの絵に変更した理由について、鈴木プロデューサーは「今までの『アニメージュとジブリ展』はハイブロウで敷居が高いイメージだったのが気になっていて、それを崩すには彼女の絵が役に立つ、と思ったんです。実際周りの意見を聞いても評判が良くて、すごく嬉しいですね」と語り、またアニメージュという雑誌の印象を訊ねられたカンヤダさんは「アニメに興味はなかったのですが、人に焦点が当てられており、その歴史を詳しく知ることができる内容になっていて感動しました」と答えた。

それを受ける形で鈴木プロデューサーは「昔のアニメは “まんが映画” なんて言われたくらいで誰も作り手に興味なんて持っていませんでした。そこで僕がやろうとしたのは、彼女が言ったように人をフィーチャーするということ。
この考え方はフランスに『カイエ・デュ・シネマ』という雑誌があって、編集長であるアンドレ・バザンがいろんな人に映画の企画やシナリオを発表する場としていて、腹の中ではそういう雑誌になれば嬉しいな、と思っていましたね。
あと、それまでの映画雑誌は本編の画像ではなくスチール写真を使っていたので、場面の動きを一コマずつ分解して掲載して本当の意味での “映像雑誌” を目指しました」
と、創刊当時のアニメージュの目指したことを示したところで、トークセッションは幕を閉じた。

>>>鈴木敏夫Pが語るイベントの様子、バージョンアップした「アニメージュとジブリ展」の展示内容を見る(写真24点)

※宮崎駿監督の崎はたつさき

(C)Studio Ghibli

アニメージュプラス編集部

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