◆放送直前対談インタビュー(全文)――原作を読まれた感想をお聞かせください。堀江 青春の甘酸っぱさが詰め込まれた作品だと思いました。主人公の市川(京太郎)がちょっとひねくれた男の子という、どの作品にも被らない王道から外れたラブコメなところも印象的で。僕も市川の言動に共感することが多く、すぐに『僕ヤバ』の世界にのめり込んでいました。そして、ゆっくり丁寧に描かれる市川とヒロインの山田(杏奈)との恋模様を尊いなと感じつつ、毎話毎話もどかしい気持ちにもなっていました(笑)。
羊宮 私は最初、杏奈ちゃん視点で読んでいたんですけど、市川くんの優しさに触れていくうちに、市川くんが愛おしくなっていましたね。杏奈ちゃんについては、ひたむきで繊細な子だと感じました。不器用だったりガサツに見えちゃったりもしますが、何事にも一生懸命なので「いい子だな」と自然と好感を持たれると思います。
――山田の “かわいいところ” を挙げるなら?羊宮 全部かわいいです!
――(笑)。では、最初にかわいいと感じた瞬間は?羊宮 やっぱり食べているところですね。杏奈ちゃんは読者モデルをするほど美少女なのに、無邪気にほっぺを膨らませながらお菓子を食べていて。美味しそうに食べる彼女の姿はすごく愛らしいです。
堀江 市川の前では、ポンコツになることが多いですよね。かたやナンパイ(山田にアプローチをかけてくるイケメン先輩・南条ハルヤ)には、キリッと「私、興味がないので」感を出すこともあって。ギャップというか、多彩な表情を持っているところが山田の魅力のひとつだなと思いました。
――ちなみに、お2人の中学生時代はどうでしたか?堀江 昔の自分と市川がダブるくらいの中二病でした。陽キャを小馬鹿にしつつ、内心ではすっごく羨ましかったですなぁ。また山田のように、僕のことを気にかけてくれる女子もいたんですよ。彼女が前の席だったときは、その長い髪を僕の顔に掛かるように大げさに振り返りながらプリントを渡してきたりして……。
羊宮 マンガみたいですね!
堀江 当時はすごく動揺させられましたね。ささやかな青春でした。だから、市川の気持ちが本当に、痛いほどよくわかます(笑)。
――羊宮さんはどんな中学生でしたか?羊宮 周りと比べて思春期が遅く、小学生時代も男勝りな性格だったので、中学生になってもそのノリはあったように思います。
堀江 ナチュラルに陽のオーラを纏っていたと。お互い正反対の中学生時代を送ったようですね。ちなみに市川がダブって見えたとさきほど話しましたが、さすがに教室で「殺人大百科」を読んだりはしませんでしたよ。文豪作品のカバーと取り替えて、こっそりライトノベルを読んでいたりはしましたけど(笑)。
――ここからはアニメのアフレコについてお聞かせください。キャラクターを演じてみていかがでしたか?堀江 市川は声変わりする前の男の子なので、どのような声が相応しいのか悩みました。そもそもオーディションの段階では、「市川はきっと女性の役者さんが演じるんだろうな」と思っていたんです。だから市川役に選ばれたとき、男性が演じるビジョンが見えてこず、戸惑いが大きかったですね。とはいえ改めて市川と向き合い、 “かわいさが含まれない男性ならではの高い声” が自分のなかで定まってからは、市川の演技に軸足を置くようになりました。
――市川の演技では、どんなことを心がけましたか?堀江 息遣いや言葉にならない小さな声はできるだけデフォルメせず、自然に、リアルに沿った雰囲気を心がけました。そういう些細な空気感にも『僕ヤバ』の魅力が詰まっていると思ったんです。キャラクター同士の掛け合いでは、それこそ羊宮さんや、共演者の方々の演技に身を委ねていましたね。市川も山田同様、キャラクターごとに態度や口調が変わるので、周りの方々に市川というキャラクターを形作ってもらうようなイメージで演技していました。
――羊宮さんは山田を演じるにあたってどんなことを意識されましたか?羊宮 一番は、そのとき杏奈ちゃんが市川くんのことをどのように思っていたかですね。とくに序盤の彼女は少しずつ彼のことを意識していくので、杏奈ちゃん視点での、市川くんとの距離感を常に意識しながら演じました。そのなかで印象的な出来事があって。堀江さんのお芝居にすごくトキめいたというか、市川くんにドキッとする瞬間はこういう気持ちなのかなと感じる時がありました
堀江 おっと、初耳だな。
羊宮 ネタバレを避けるため、どのセリフかは伏せさせて頂きたいのですが...そのお芝居をされた時、全身を電流が走ったかのような衝撃がありました。
――羊宮さんも、市川のことを好きになっちゃたんですね。羊宮 そうですね(照笑)。杏奈ちゃんを演じていくうえで、とても大切な経験を積めた瞬間でした。あと原作の該当シーンもすごく素敵なんですよ。マンガとアニメ、その表現の違いもぜひ楽しんでいただけますと嬉しいです。
>>>第1話先行場面カットや堀江&羊宮対談写真を全て見る(写真10点)(C)桜井のりお(秋田書店)/僕ヤバ製作委員会