• 【追悼】坂本龍一がアニメに遺した足跡『オネアミスの翼』『さよなら、ティラノ』
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2023.04.07

【追悼】坂本龍一がアニメに遺した足跡『オネアミスの翼』『さよなら、ティラノ』

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(C)BANDAI VISUAL/GAINAX


◆監督が語る『さよなら、ティラノ』での仕事ぶり◆
そんな坂本さんが33年ぶりにアニメの音楽を担当するということで話題になったのが、2021年公開の映画『さよなら、ティラノ』(静野孔文監督)。
宮西達也の人気絵本〈ティラノサウルスシリーズ〉をアニメ化した本作での坂本さんとの仕事を、監督の静野孔文は次のように振り返っている。

「坂本さんもアニメーション側に寄り添ってくださいました。ちょうどハリウッド映画を同時にいろいろ手掛けていらしたと思うのですが、そちらでは作曲をする際に、音楽をしっかり合わせることができるような完成した映像素材がもらえるということで。でも、アニメーションの現場はどうしても、作曲段階で完パケしている映像をお渡しするのは難しくて。今回、坂本さんにお渡しできた素材もラフな絵や、まだ細かいところまで編集しきれていない映像でした。でも坂本さんはそこも上手く対応してくださって。『編集で映像が若干ズレたとしても、このポイントさえしっかり合わせてもらえれば大丈夫』という形で、こちらで迷わないような曲を作っていただけたので、とても助かりました」

「もちろん坂本さんは世界的なアーティストですが、同時に、映画は映画であり、最終的には音楽だけなく映像もしっかりできあがってひとつの作品となるということを熟知されているんだなと、あらためて実感しました」
(坂本龍一も参加!『さよなら、ティラノ』の見逃せない注目点【静野孔文監督インタビュー】)

『さよなら、ティラノ』に関しては、坂本さん自身が本作の曲を演奏・解説する特別映像(2019年7月撮影)も公開されているので、ぜひ本作の公式サイトやYouTubeで確認してみてほしい。
▲『さよなら、ティラノ』

坂本さんの最後のアニメ参加作となったのが、2022年にNETFLIXで配信開始されたスペースホラーSFアニメ『エクセプション』(サトウユーゾー監督)だ。
公式コメントで「元々SFが好きなのと、脚本を読んでこの映像を観てみたいと感じたので参加しようと思いました」と本作への参加理由を語った坂本さんは、「本人としてはとても気に入ったOSTになりました」とも述べており、音楽にかなり良い手応えを感じていた様子だ。
それだけに、“坂本龍一の音楽が彩るアニメーション” をもっとたくさん聴いてみたかったという気持ちも強くなる。
それが叶わなくなった今、せめて坂本さんがアニメ界に残してくれた足跡をしっかりとたどり、音楽が描きだしてくれた世界を楽しむことで、その偉業を深く記憶したい。

そして、あらためて音楽家・坂本龍一さんのご冥福をお祈りします。

(C)2018 “My TYRANO” Film Partners
(C)BANDAI VISUAL/GAINAX

アニメージュプラス編集部

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