2人組ユニットのClariSが、Winkの1989年のヒット曲『淋しい熱帯魚』のカバ―を収録したコンセプトEP『淋しい熱帯魚』をリリ―ス。同曲は5月に開催されたライブ「ClariS SPRING LIVE 2023 ~Neo Sparkle~」の最終公演で初披露されたもの。80年代の音楽番組を完全再現、Winkの衣装やメイク、振り付けや表情をオマ―ジュしたミュ―ジックビデオは、ClariSファンだけでなく当時のWinkファンや昭和レトロ愛好家の間でも話題になった。インタビュ―後編は、コンセプトEP『淋しい熱帯魚』に収録の『はいからさんが通る』のカバ―や「淋しい熱帯魚 -SCRAMBLES ver.-」、11月に開催するライブについての意気込みなど聞いた。(後編/全2回)
【前編】【ClariS】の『淋しい熱帯魚』は、Winkを敬愛した表現力の結晶だ■無表情を崩さないための「視線を合わさない作戦」――今回の『淋しい熱帯魚』のカバ―に関しては、当時作詞を手がけた及川眠子さんやWinkの振り付けをしたKAORUCOさんがTwitterで反応してくださったと。カレン:MVが公開されたもう翌日くらいに、お二人が反応してくださって。情報が届くことはあってもMVを観るというのはもうワンステップ必要なことなので、それをしてまで観てくださったことが、本当にありがたかったです。及川眠子さんからは、こうして時を経て再びこの楽曲に息を吹き込んでくれて嬉しい…といった内容のコメントをいただきました。
クララ:KAORUCOさんからは、顔の角度とかこうしたらもっと似るよといったアドバイスをいただいて、嬉しかったです。単にリスペクトを込めてカバ―しただけじゃなく、私たちの良さもしっかりある『淋しい熱帯魚』を評価してくださったことが嬉しくて。
――いつか眠子さんから歌詞を、KAORUCOさんに振り付けを。カレン:夢のまた夢ですけどね!
――ちなみに、ClariSさんはライブの時いつもニコニコと楽しそうですけど、『淋しい熱帯魚』では笑顔を我慢していて。思わず笑顔になりそうにならないですか?クララ:5月のライブの時は、やっぱりニコニコで出て行きたかったんですけど、その気持ちをグッと抑えていました。
カレン:楽曲やWinkさんにリスペクトを込めて歌っているので、世界観を崩してはいけないので、何度もニコっとしそうになりそうなところをグッと堪えています。ただ目を合わせてしまうと笑顔になりそうになるので、「視線を合わさない」という作戦を取っています。
――向かい合うところとかありますよね。カレン:そうなんですけど、そこは伏し目がちで直接視線を合わせないようにして。それはWinkさんもそうなんですけど。
クララ:ただ「淋しい熱帯魚 -SCRAMBLES ver.-」は、変化を付けるかもしれないけど。
――ちょうど話が出ましたが、今回のEPには「淋しい熱帯魚 -SCRAMBLES ver.-」を収録しています。SCRAMBLESは、BiSHなどの楽曲を手がけている松隈ケンタさん率いる音楽集団で、原曲のシンセサウンドから一転、熱いバンドサウンドです。カレン:松隈ケンタさんにリアレンジしていただけると聞いた時は、「どうなるんだろう?」って全然想像が付かなかったんですけど、想像を越える格好良さでビックリしました。
クララ:それこそ昭和の良さと現代の良さが合わさって、今の人が聴いても新しいと感じていただけるバ―ジョンです! どっちも聴いて欲しいですね!
■『はいからさんが通る』は『淋しい熱帯魚』とは対照的な世界観――もう1曲は、南野陽子さんの『はいからさんが通る』のカバ―です。『淋しい熱帯魚』のMVで、すでに伏線が張られていましたね。カレン:ちゃんとつながるように、「はいからさん」も撮影していて。『淋しい熱帯魚』のMVを観たファンの方から「はいからさん」のカバ―も聴きたいという声がたくさんあって。心の中で、「もうちょっと待っててね!」って思っていました(笑)。
――『はいからさんが通る』は、南野陽子さんが主演した同名映画の主題歌で、原作はアニメ化もされた人気少女漫画です。クララ:すごく可愛いらしい曲で、『淋しい熱帯魚』の中にある私たちらしさとは異なる、普段の私たちらしさに通じる良さのある楽曲だと思って選ばせていただきました。
――MVでは、当時南野さんが着ていたような、袴の衣装を着ています。クララ:実は少し前にファンクラブの企画で、レ―スをあしらった現代的な袴を着て浅草を散策するという撮影をしました。袴を着たのは、私はその時が初めてでした。
カレン:私は、小学校の卒業式で着たことがありました。でもMVで着ている柄は、自分では絶対に選ばない柄だったので、着た時はすごくワクワクしました。
――『はいからさんが通る』は、歌っていかがでしたか?クララ:歌えば歌うほど、聴けば聴くほどすごく耳に残るし、可愛らしいし、勇気をもらえると言うか。〈前を 向いて ゆきます〉という歌詞もあって、すごく前向きで笑顔になれる楽曲だなって。
カレン:歌詞の主人公は、すごく芯のある女性像なんですけど、性格がきついわけでもなくて。ただ純粋に、相手のことを思っている。そういう気持ちが伝わって、めちゃめちゃピュアだなって思いました。こんなに自分というものを持って、誰かを愛するという純粋さをこの歌詞から感じて、『淋しい熱帯魚』とは対照的な世界観だなって。
■ライブはアドレナリンが出まくって、空腹を全く感じない――今回は昭和歌謡のカバ―ですけど、普段から歌謡曲を聴いたり昭和レトロが好きだったりしますか?クララ:母が昔聴いていた音楽とか、テレビ番組などでそういった特集があると必ず観ます。昔の曲には、現代の音楽とは全く違う良さがあるので、いつも「ステキだな〜」って思いながら聴いていました。
カレン:私も小さい頃から車で親のカセットテ―プを聴いたり、家にカラオケセットがあって、そこに昭和歌謡の曲が多く入っていて。父親や弟が、アナログレコ―ドを集めているので、それを日常的に聴いていたりだとか。昭和歌謡が流れているのが日常という家で育ったので、自然と体に染みついているものがあります。今はア―ティストからファンにどんどん発信していくのが当たり前ですけど、昭和歌謡の方の歌や楽曲には、ファンが追いかけたくなるような人を惹きつける魅力がありますね。
――今後もこういった昭和歌謡のカバ―を定期的に聴きたいです。クララ:ありがとうございます。私たちもやりたいと思っていて。ちょうど季節をテ―マにカバ―するコンセプトミニアルバムのシリ―ズで、秋が残っていますから、それを出す時は1曲くらいは何か昭和歌謡をカバ―できたらいいなと。それに今回の昭和歌謡をカバ―したコンセプトEPで、第2弾や第3弾ができたらいいなって。
――11月24日(夜公演のみ)、25日(昼・夜公演)に開催の「ClariS Autumn Live 2023 in Zepp DiverCity」はまたライブハウスなので、「淋しい熱帯魚 -SCRAMBLES ver.-」が聴けるかもしれないです。カレン:そこは楽しみにしていてください(笑)!
――昼と夜があるライブは、昼と夜の間に食事したりするのですか?カレン:私たち、ライブの前は全然食べられなくて、スイ―ツをちょっと食べるくらいです。全部終わったら、がっつり食べるんですけどね。
――エネルギ―使うし、お腹が空きそうですけど。クララ:ライブってアドレナリンがすごく出て、空腹を全く感じないんですよ。ただ、終わった途端、急に思い出したかのようにお腹が鳴るという(笑)。
――ライブ終わりにはどんなものが食べたくなるんですか?クララ:やっぱりお肉!
カレン:と、お米(笑)。でもそれだけじゃ足りなくて、デザ―トも食べて。ライブ終わりでこってりラ―メンを食べに行ったこともありますし。結構がっつりです(笑)!