【店名について】まず気になったのは『副次的文化工藝専門店 KESaGaKE本店』という店舗の名前。いったいどういう意味なのだろうか。
「店舗名にはいろいろな意味、思いが込められています。刀の袈裟掛け切りというのは、肩口から反対の脇へかけて切る切り方なのですが、切り口が「/(スラッシュ)」になるんです。そしてソフビ人形はスラッシュ成型という方法で作られているので、「スラッシュ」のつながりから「KESaGaKE」としました。また「KESaGaKE」の中の「SaGa(サガ)」は、「前兆」と書いて「さが」と読み、吉事の印とされています。また「伝統」や「運命」、持って生まれた「宿命」を意味したり、「物語」という解釈もできることから、才ある作家さんたちが運命に導かれて新たな物語を紡いでいく、そんな願いを込めてあえて「SaGa」だけ「a」を小文字にしています」とのこと。商売的なことよりも、クリエイターへの思いが強く、深い意味がある名前だった。ちなみにスラッシュ成型とは、ソフビなど、中が空の人形などをつくる場合に使われる成型方法で、液体状のを金型に注ぎ金型を加熱、金型に触れている部分が固まってきたところで金型から抜き出す製法だ。
【なぜ京都に常設店舗を】ではなぜ古都・京都の老舗百貨店に店舗がオープンしたのだろうか。
「日々新しいお店や商品を探している中で、大丸京都店の4階に「暦ごよみ」と言って、京都の地元の雑貨屋さんが販売する場所だったり、伝統工芸品などを中心に地域活性、京都を拠点とした方や地域の活性化のための販売をするために提供するスペースがありまして、物の価値やストーリーを伝える環境が、今回の商品を販売するのに適していると思い、店舗を常設することになりました」スペースとしては期間限定のいわゆるポップアップショップとして展開し、売り上げが良くて常設にするのが通常だと思う。いきなり常設にするには勇気が必要だと思うが。
「私達の「暦ごよみ」も基本的には1週間の期間限定イベントで回させていただいているのですが、こうしたショップが基本的に関西にないということもありまして、いつでもお客様がクリエイターさんの作品に触れることができるようにということ、その拠点を関西に作りたいという思いがまずありました。日本の伝統的な玩具であるソフビが現在のクリエイターさんたちに注目されていることと、京都の伝統産業を繋いでいくということに近しい親しみを感じましたので、京都の地からお届けしたいという思いで、常設にさせていただきました」日本の伝統を現代につないでいる京都の志と、おもちゃの伝統をつなぐ現代のクリエイターの志が結びついた形がこのショップなのであろう。