全世界でシリーズ累計出荷本数が1億3000万本を超える、大ヒットサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』。7月7日(金)から公開された『バイオハザード:デスアイランド』は、そんな『バイオハザード』の世界をドラマチックに描き出す最新フルCG映画で、ジル・バレンタインを筆頭にレオン・S・ケネディ、クリス・レッドフィールド、クレア・レッドフィールド、レベッカ・チェンバースと、これまでのシリーズで活躍してきた主要キャラクターの “夢の共演” が話題となっている。オールスター総登場の濃厚なストーリーを描き出した脚本・深見真氏のインタビュー後編では、本作の強烈な敵役・ディランの造形と『バイオハザード』らしさに溢れるクライマックスの見どころを語ってくれた。
>>>インタビュー前編 『バイオハザード:デスアイランド』脚本家が語るジルが〈主役〉になった理由★底知れぬ不気味さが漂う敵役★――ジルとレオンの共演も、ファンにとっては見逃せないポイントですよね。深見 ジルとレオンは、ゲームではいままで顔を合わせる描写がなかったと思いますが、今回はあえて「どうやら初対面ではなさそうだ」という雰囲気になっています。シリーズのファンの方から見ると「ジルとレオンは面識があっていいの?」という違和感があるかもしれないですが、そこは何があったのかという行間を想像しつつ、楽しんでいただければと思います。
また作品のいちファンである自分としては、これをきっかけに今後のゲームで何らかのミッシングリンクが埋められる可能性が出てくれれば……みたいな(笑)。
――深見さん自身の期待も込みなんですね(笑)。深見 あと実際のところ、あの世界ではもうかなり長く “戦い” が続いていますから、ジルやレオンのような仕事をしていれば、直接の知り合いではなくてもお互いが今まで何をやってきたのかくらいの情報は頭に入っているじゃないかとも思うんですよ。
一般的には生物兵器やバイオテロの情報は隠蔽されていますけれど、いわゆる関係者……ゾンビ業界人?(笑)の界隈では、二人とも名を知られているはずですから。
――「噂に聞いていたあいつか……」的な、プロフェッショナル同士の距離感。それもまた『バイオハザード』シリーズならではの世界ですね。深見 「ジルと言ったら、あのS.T.A.R.S.の生き残りで……」とレオンはもちろん知っているし、ジルからすると「ああ、あの大統領の娘を救ったレオン・S・ケネディね」という感覚はあるでしょうね。
▲ジル(左)とレオン(右)の共闘、プロフェッショナル同士の緊張感と信頼感を感じさせるやりとりにも注目だ――今作の敵役として登場するディランも、これまでのシリーズには登場しなかったような異色のキャラクターですね。深見 こんなことはもちろんあり得ないのですが、もしもゲーム『バイオハザード5』でジルがクリスを殺していたらどうなっていたのか、そうなるとジルはその後も敵役になってしまうな……というのが、ディランというキャラクターを生み出す際に考えたことのひとつでした。
――ある意味、暗黒面に墜ちたジルの合わせ鏡という存在として設定を。深見 というのも今回、レオン、クリス、ジル、クレア、レベッカと勢揃いしたメインキャラたちは、それぞれ単独でも悪の組織を潰しかねない人たちです。そんな5人が揃った時、どんな敵を相手にしたら危機感が生まれるだろうか、という問題があったんです。
――よほどの存在でなければならないわけですね。深見 よくある「お金のことで頭がいっぱい」みたいな敵役ではなく、極端に刹那的で破滅型のタイプでないとあの5人には対抗できないと思ったんですね。
やろうと思えば、主人公たちを殺せるタイミングは何度でもある。でも、そうはしない。なぜならそこには彼なりの倫理観や行動原理があり、だからこそ底知れぬ不気味さが漂う……そんな悪役になればいいなと思って生み出した存在がディランです。
▲過去のある事件をきっかけに、底知れぬ憎悪と虚無を背負うことになった男・ディラン(C)2023 CAPCOM / DEATH ISLAND PARTNERS ALL RIGHTS RESERVED.