■私の幸福はファンの方の存在が感じられている時――歌詞で、お気に入りのフレーズはありますか?Rainy。:いっぱいあるんですけど、Dメロの〈ʻ幸福ʼみたいな曖昧な定義(もの)を 追いかけてここにいる〉も、すごく良くて。幸福の定義は人によって違っていて、どんな人にもリンクして想像をかき立てられるんだけど、そこにあるものはひとつと言うか。受け取る幅は広いのに、しっかりと芯があるところがすごく好きです。
――今「幸福」という言葉が出ましたが、Rainy。さんにとっての幸福は何ですか?Rainy。:1日のうちで感じる幸福もたくさんありますけど、やっぱり幸せを感じるのは、ステージで歌っている時に、たくさんの方が私を観て応援してくださっている時です。私を観てくださっていると肌で感じる時は、「幸せだな〜」っていう気持ちになります。それにエゴサーチを結構しちゃう方なんですけど、ライブ後に良かった意見を含め、「ここがこうだった」とか私が気づいていなかったことを書いてくださっているのを見ると、今度はそれを意識してみようとか改善しようと思ったり、ファンの方の存在が感じられている時は幸せです。
■聴いてくださる方にはこの歌の世界にどっぷり入り込んでほしい――曲の話に戻りますが、「…and Rescue Me」を歌った時は、哀ちゃんになり切る感じで歌ったのですか? それともRainy。さんとして、物語を伝えるような気持ちで?Rainy。:やっぱり、Rainy。としてです。想像がかき立てられる歌詞なので、それをダイレクトに感じながら歌いました。例えば2番のサビの歌詞に出て来る〈二人が出会ってしまった夏がまた来る〉というフレーズは、どんな二人でどんな出会いだったのかを想像して。つまり歌詞の気持ちや情景を表現するようなイメージです。〈二人〉と聞くと男女の恋愛のように思いますが、友達や家族などそこに幸福がある関係であれば、いろいろな〈二人〉に捉えることができると思います。〈出会ってしまった〉というニュアンスはちょっと意味深ですけど(笑)、言葉と言葉をリンクづけて、自分の中で物語を紡いでいくようなイメージで歌いました。
――AメロとBメロはサビとは違って、ちょっと淡々とした感じで歌っています。1曲の中での起伏みたいなものも意識しながら歌ったのですか?Rainy。:はい。聴いてくださる方にはこの歌の世界にどっぷり入り込んでほしいので、まずAメロとBメロはプロローグ的に、状況を思い浮かべながら一つひとつの言葉を伝えるように、語り部のように歌いました。サビ前の〈無限の闇がある〉では、未知の闇がどんどん拡大していくようなイメージで、そして〈青い夏〉からのサビでバッと、一気に目の前の景色が開ける感じで歌いました。
――サビはちょっと早口でリズムが独特なので難しくなかったですか?Rainy。:速いんですけど文章を歌っているのではないので、〈出会い〉〈揺らぎ〉〈眩しい絶望〉と単語が、シュンッシュンッシュンッと横切るようなイメージで歌ったら、すごく歌いやすかったです。カラオケで歌う時に速くて難しいなと思った方は、ぜひそういうイメージで歌ってみてください。
<後編>【Rainy。】楽曲の魅力を100%引き出した新世代の才能が降り注ぐ