• 『ガンダムSEED』の転換点「遥かなる暁」で試されるキラとアスランの絆
  • 『ガンダムSEED』の転換点「遥かなる暁」で試されるキラとアスランの絆
2023.09.07

『ガンダムSEED』の転換点「遥かなる暁」で試されるキラとアスランの絆

(C)創通・サンライズ

ファン待望の「ガンダムSEEDシリーズ」最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月26日に全国の劇場で公開される。それに先駆け、『機動戦士ガンダムSEED』(HDリマスター)を3部作に、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(HDリマスター)を4部作に再編集したスペシャルエディションの劇場上映が決定した。

スペシャルエディション全7作と共に「ガンダムSEEDシリーズ」の魅力を振り返るアニメージュプラスのコラム連載、第2回となる今回は9月8日公開の『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 遥かなる暁 HDリマスター』と共に、ドラマの大きな柱となったキラ・ヤマトとアスラン・ザラのドラマについて触れていきたい。

『ガンダムSEED』の大ヒットを牽引したポイントのひとつに、キラとアスランという二人の少年のキャラクタードラマがある。『ガンダムSEED』は、原点である1979年放送の『機動戦士ガンダム』(以下、『ガンダム』)の要素を意識しながら、キャラクターの表現や心理描写において若い世代へ向けてのチューニングが行われた。

それまでのロボットアニメの主人公は身体能力が高く、物事に積極的に向き合う熱血漢という「少年少女が憧れるヒーロー」として描かれることが多かった。しかし、『ガンダム』の主人公アムロ・レイは、内向的な性格で機械いじりが趣味という普通の少年。それはまさに作品を観るファンの等身大の姿であり、だからこそ作品に「日常が戦争に塗り替えらえる」リアルと共感を呼ぶこととなった。

『ガンダムSEED』の主人公キラ・ヤマトもまた、コンピュータに精通したごく普通の少年であった。遺伝子調整された人類=コーディネイターでありながら、自然のままに生まれた人類=ナチュラルの社会で成長したことから、ナチュラルに対する親近感を覚えている。
しかしプラントと地球連合の戦争が始まり、学友を守るため地球連合軍の戦艦アークエンジェルとの同行を選んだキラは、ストライクガンダムのパイロットとしてザフトと戦う立場に立たされてしまう。

混乱した状況は、キラ自身が普段意識していなかった潜在的な問題を浮かび上がらせていく。ストライクガンダムでの目覚ましい活躍は、コーディネイターという種の優秀さと共に脅威をアピールすることとなり、フレイ・アルスターを中心にコーディネイターへの差別的な空気が仲間たちへと拡散されていく。
何かをきっかけにして突如友達が離れていき孤独化する恐怖、そして自分を理解してくれる人がいない不安と悲しさ――繊細であるがゆえに傷つき続けるキラの姿を、当時リアルタイムで作品を観ていた若年層は自分たちを重ねて見つめていたのだ。

一方、本作でのキラのライバルにおいても、様々なアップデートが施されている。
『ガンダム』におけるアムロのライバル的な存在と言えば、シャア・アズナブル。この複雑な出自と野望を抱えたジオン公国軍の青年エースパイロットは、偶然の触れ合いはあったものの、アムロとの関係は基本戦場だけのものであり、お互いを「敵」と認識し合っていた。

しかし『ガンダムSEED』のキラとアスランは、戦場において異なる立場で出会う時もお互いを「友」として見つめている。
アスランはキラと久々の再会を果たした時、手にしたナイフをふるうことはできず、キラは地球連合に騙されていると信じ、何とかしてプラント――自分の元へと身柄を戻そうと画策する。キラもまた、アスランとの戦いを望んではいないが、学友を守るためにはアークエンジェルと行動を共にするしかなかった。
戦場で出会う度に、キラとアスランは同じ思いを胸に抱き、苦悩する。「なぜわかってくれないんだ?」と――。


(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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