• 【富野由悠季】『逆襲のシャア』トークイベント「『宮﨑潰す』は僕じゃなく皆さんの仕事」
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2024.03.17

【富野由悠季】『逆襲のシャア』トークイベント「『宮﨑潰す』は僕じゃなく皆さんの仕事」

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』イベント上映に登壇した富野由悠季監督(左)、同作のメカニックデザイナー/出渕裕

3月16日、NEXT21新潟市民プラザにて「第2回新潟国際アニメーション映画祭」『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のイベント上映が開催、上映前には富野由悠季監督と本作のメカニックデザインを担当した出渕裕のトークショーが行われた。大いに盛り上がった現地の様子をレポートしていこう。

まず挨拶で、富野監督は今回の上映に関して「(レトロスペクティブで特集される)高畑(勲)監督は僕にとっての師匠です。師匠と一緒にこうやって上映されるのは良いんだけど、本当はちょっと照れるなって感じ」と感想を述べ、一方の出渕さんは「富野さんとのこういう公式なトークは久しぶり」と、この機会が本当に楽しみな様子をうかがわせた。

トーク前に『逆襲のシャア』で出渕さんがメカニックデザインをやっていたことを「まったく覚えていません」と返したという富野監督。苦笑いで「富野さんの作品では僕はいつも敗戦処理係なんですよ」と語る出渕さんに「僕の中でのその言葉の意味は違っていて、本当に器用で便利な人という風に思っていました。本人は “器用貧乏” と言っていますけれど、いろんな人と仕事をしていて驚きましたが、ひとつのことしかできない人の方が多いんですよ」と、改めて出渕さんの才能を評価していることを明らかにした。

MCを務める吉田尚記さんの誘導で、出渕さんは『逆襲のシャア』に関しての自論を壇上で披露。まず本作は「シャアを再発見した作品」ということ。カッコ良い敵役というイメージに騙されてしまいがちだが、本当は異常な人物であり、『逆襲のシャア』では独善的で共感力ゼロ、勝つためには手段を選ばず、人に嘘ばかりついている。だからこそ、『Zガンダム』のクワトロ・バジーナではカミーユを導く善人にしてしまったことが失敗だった、と語った。

また、本作でのニュータイプの扱いに関しても「富野さんの興味はこの段階で “生身の人間を描く事” にいっていて、できるだけ触れたくないというムードが伝わってくる。サイコフレームの扱いにしたって『理屈をつけたよ』という方便を見せているだけ」と指摘する出渕さんに対して「まさに方便です。絵コンテを描きながら『困ったな、本当はこういうのは出したくないんだよね』って思ってた」と富野監督は語り、「今、出渕くんが語ったことは全部正しいし、コンテを切っている時の違和感を思い出させてくれて、正直ビックリしています」と当時の思いを振り返っていた。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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