【富野由悠季】『逆襲のシャア』トークイベント「『宮﨑潰す』は僕じゃなく皆さんの仕事」

さらに「富野さんは編集が上手いんですよ、不思議なリズムが出るんですよね」と褒める出渕さんに対して、富野監督が「『編集下手ですね』ってクソミソに言っている庵野（秀明）って奴がいた！」と返したことで会場は笑いに包まれたが、久々に本作を観直したところ「冒頭の3～4分の編集、本当に上手いなって（笑）」と自画自賛する一幕も。

出渕さんから「先ほど『生身の人間を～』という話をしましたけれど、本作は特に女性キャラの生っぽさが素晴らしい。例えばチェーンはよく見ると嫌な女で、アムロの強さを傘にして偉そうな態度を取ったりして『こういう人いるよね』って思えるし、上手いですよね」と語ると、富野監督は「アニメにまともな女性を出す、というのは本当に意識しました」と語るも、出渕さんにガウン姿のシャアとナナイのやり取りに力が入っていたことを指摘されると「その通りなんだけれど、演出家の作為が見えすぎていると映画としてはまとまってないかもしれない。もう少し上手く大人を描く努力をしなくちゃいけないね」と苦笑いした。

フォトセッションを終えたあと、富野監督は「『宮﨑（駿）潰す！』を、僕じゃなく皆さんが頑張ってください。宮﨑さんがアカデミー賞を獲った功績を受け継いでいくことが、皆さんたち若い日本人の仕事ではないかと思います。そのための勉強として、（映画祭で）高畑監督の面倒なアニメもいっぱいやってるので観てくださいね」とメッセージを送った。

出渕さんから「宮﨑さん、もう1本作るかもしれないから、富野さんも作ってくださいよ」と言葉をかけられると「宮﨑監督はいちいち、いちいち引退を言うわけ。だけど、僕はまだ引退って言ってないからね！」と心強い宣言をし、その言葉に会場の観客はひときわ大きな拍手を送り、トークイベントは大盛況の中幕を閉じた。


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