• ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【前編】
  • ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【前編】
2019.06.05

ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【前編】

脚本を手掛けた、高橋悠也さん


――
不二子の母性としての愛は、どこら辺まで描こうと思われました?

高橋 一回はジーンと南の島に行くとか行かないとかいう風に考えたときもあったんですけど、うーん、なんでしょうね。どれを考えてもさっき言ったように、僕とか、一人の人間が考えた不二子像を押しつけちゃうような気がして。

あんまり明確な方に振り過ぎちゃうと、不二子じゃないなっていうのに突き当たってしまい、ぶち当たっては止め、ぶち当たっては止めって、どんどんそういう変に角を切り落としていったらいまの形になったというか。やっぱりわからないことが不二子の魅力だなっていう風には、結果出来上がってみて思いましたけどね。

――ビンカムというキャラクターを作って行く上での具体的な肉付けの仕方を教えてください。

高橋 ビンカムは不二子の色気が通じない敵キャラクターとして設定して、人造人間のようでいて、女を知らない、まだ性に目覚めてない、ある意味ジーンとは両極でいて合わせ鏡のような。男が不二子と出会うことで性に目覚めミスを犯してしまうというか、未成年の子どもが大人になっていく過程で不二子が大人にしてやったみたいな(笑)。どっか男の願望がそこに詰まっているような、ちょっとビンカムのキャラの中に自分を置いてみる、そういうのを合わせたキャラクター造形だったかも知れないです。

『墓標』から今回まで続いたシリーズには僕の中で裏テーマがあって。『墓標』では「風」をテーマにラストの対決シーンの風がやんだときが合図だっていうのが象徴的に描かれていて、『血煙』では「水」をテーマに雨の中鹿威しがカコーンと鳴ったらヤクザと斬り合うというのがあって、今回の不二子は何だろうな、と。

毎回そんなことができたらいいなと思ってやっていて、不二子では「砂」をテーマにしました。ビンカムの呪いの言葉という能力を砂の世界観にかけて。だからラストシーンは、乾いている男の心に潤いを与えるじゃないですけど、何かそういうものを表現できたらいいなと。あと作品の世界観として、砂に満ちた荒野っていう雰囲気も含めて考えていった部分はあります。

——それは石井さんが持って来られるメモとは別で?

高橋 そうですね。ビジュアルとは別に、風だ水だ砂だっていうのは僕の個人的な拘りの部分なので、それはこちらで付けた部分です。

とはいえ、ある意味ではお互いアイデアを持ち寄って融合させた部分ではあります。あと次元が銃で五ェ門が刀で、不二子の武器は何だろうって考えたとき、色気とか話術以外に毒物っていうか薬物も不二子の特長なので、それをどうにか生かせないかっていうところから、不二子らしい対決シーンを生み出しました。じゃあ敵側は砂と連動で薬物なるものを使うことにしようとかいろいろ絡み合って考えました。



■高橋悠也(たかはし・ゆうや) Profile

脚本家。1978年生まれ。TV ドラマ「相棒」シリーズ(テレビ朝日)、「仮面ライダーエグゼイド」(2016)など話題作を担当。劇団UNIBIRDを主宰し、その舞台作品全ての脚本・演出を担当。「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」(2014)LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門」(2017)では脚本、「ルパン三世 PART4 (2015)でもシリーズ構成と脚本を担当した。

■『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』

531日(金)より新宿バルト9ほか限定劇場公開
共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント

原作:モンキー・パンチ

監督・演出・キャラクターデザイン:小池健

脚本:高橋悠也/音楽:ジェイムス下地/クリエイティブ・アドバイザー:石井克人

【声の出演】

 栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守

【製作・著作】トムス・エンタテインメント

【アニメーション制作】テレコム・アニメーションフィルム

原作:モンキー・パンチ (C)TMS

公式サイト

 

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