• 【おそ松さん特集09】松原秀の第2期エピソードコメンタリー
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2020.10.09

【おそ松さん特集09】松原秀の第2期エピソードコメンタリー

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

『おそ松さん』第3期放送開始を記念し、月刊アニメージュのバックナンバーに掲載されたインタビューを再掲載して6つ子の世界の魅力をあらためて紹介する特集「おそ松さんを6000倍楽しもう!」
今回は2018年3月号掲載のシリーズ構成・松原秀のインタビューだ。
第2期も終盤にさしかかった時期に実施されたインタビューで、第1期、第2期と作り続けることで作り手側の作品世界に対するイメージが広がりつつ、より強固にもなり、多彩なアイデアが生まれていったことがうかがえる。
個々のエピソードに対するコメントも充実しており、第2期を見返す上でのガイドにもなるだろう。

>>>『おそ松さん』特集の全容はこちら!

原点回帰してさらに深く鋭く!!
松原秀【シリーズ構成】

スタートはちゃんとしなきゃ!

——第2期は、松原(秀)さんご自身で全エピソードのシナリオ手掛けていますよね。

松原 はい、そうなんですよ。

——それはどういう事情で?

松原 そこはシンプルに、自分で全部書きたいなと思ったということですね。「これ書きたい」「あれ書きたい」とか、やりたいことがあったんですよ、いっぱい。たとえば、具体的には「チョロ松と一松」(第3話)とか「松造と松代」(第4話)とか「旅館」(第17話)とか。あと漠然とチビ太で1本やりたいなとか思って、それが「復讐のチビ太」(第11話)だったり。第1期でこぼれちゃったような話を書きたいっていうのと、いろんな新しいパターンを試したいっていう気持もあって……まあ、今思うと第1期があんなことになって、何かこう、アガってたんだと思います(笑)。「やりたい」とか「書きたい」みたいなのがワーッと出てきて。で、第2期の話を聞いた時に「ひとりで書きたいんですけど」と、正直な気持ちを藤田監督とプロデューサーにぶつけてみようと。最初はやっぱ、ちょっとブレーキかかりましたね。「いや、うん、まぁ、でも2クールあるからなぁ……」みたいな感じで。それは怖いっすよね(笑)。主にスケジュール面だと思うんですけど、万が一僕が体調崩したら終わりですしね。で、「まだOAまで時間もあることだし、試しにそれでスタートしてみる?」ってことではじまって。結果、何とか今まで続いてます。

——実は今、第2期は第1期よりさらにおもしろくなってると、個人的には思ってるんですよ。

松原 ありがとうございます!

——褒め言葉に聞こえるかどうか微妙ですが、「えぐ味」が強くなっているというか、攻めの姿勢が前面に出ているというか(笑)。

松原 よかったです(笑)。でも実際には、「そんなに第1期と変わらないようにしようね」みたいなところからのスタートだったんですよ。第1期があんな風に話題になって嬉しいんですけど、同時にギョッとしてちょっと怖くなったとも思うんです。だから、より真面目になったっていうか「第2期、ちゃんとしなきゃな」みたいな雰囲気で(笑)。「浮かれないでいこうぜ! まず原作は『おそ松くん』、原作者は赤塚不二夫先生」「そう、そう。そこだよね、まずは」とか確認作業から改めて(笑)。「で、何だっけ? うちらの強みは?」「ショートネタはやっぱり残そう、他の作品にはなかなかないからウチらっぽいし」「スターシステム(キャラクターたちが作中で、別の役を演じるようなエピソード)も残そう」とか。

——『おそ松さん』ってそもそも何だ、という再確認ですね。

松原 原点に戻ろうじゃないですけどね。だから、第2期について「より視聴者を驚かそうとか、もっととんでもないことをしようといった話はされたんですか?」的なことをよく聞かれるんですけど、それはなかったんですよね。もっと足していこう、みたいな意識はなかったんです。

——だから第1話で「ちゃんとしよう」「ちゃんとしよう」と(笑)。

松原 おっしゃる通りです(笑)。

——でも「ちゃんとしよう」と言いつつ、結構攻撃的でしたよね。

松原 でしたね、思いのほか。

——藤田監督からも「第2期にはこんなネタを入れたい」というアイデアは出ましたか?

松原 「松造と松代」は、藤田さんも「俺もやりたいと思ってた」って言ってました。そこは一致しましたね。あと「三国志さん」(第7話)みたいな、原作にもあるようなスターシステムで、何も考えないでいいエピソード。それから「夏のおそ松さん」(第5話)のサマー仮面、あの「ナイスサマー!」「グレイトサマー!」は藤田さんのアイデアです。ああいう風にロジック関係なく「ドン!」と笑わせるのが、藤田さんは得意ですね(笑)。「ゲームセンターイヤミ」(第9話)も、イヤミで何か、くだらなくてアホっぽいのがやりたいって話になった時、藤田さんから「イヤミ、ゲームセンターとか行くのかな?」って言い出して。「ああ、いいですね」みたいなところから。あと、原作にある「となりのかわい子ちゃん」(第16話)をやろうと言い出したのも藤田さんです。『おそ松さん』は通常のシナリオ会議のほかに藤田さん、僕、富永(禎彦)プロデューサーと西(浩子)プロデューサーの4人で小会議みたいなのをやるんですけど、何となく担当がわかれているんですよ。僕はどうしても、6つ子のキャラクターに話のプロットを出しちゃうクセがあるんです。もちろんそういう話もやるんだけれど、それ以外に「あのパターン忘れてない?」みたいな感じで全体を見渡して、違うアイデアを出すのが藤田さん。言ってみれば、僕は『おそ松さん』の中でも比較的「(おそ松)さん」の部分の担当で、藤田さんは原作寄りというか「(おそ松)くん」的部分の担当という感じです。そして、西さんには女性目線とか、よりアニメファン的な目線で、藤田さんと僕があまり持っていない部分をフォローしてもらっているような雰囲気です。浅野(直之)さんにも手伝ってもらうこともありますね。行き詰まって起爆剤が欲しいみたいな時に、絵的なアイデアをポンと出してもらったり。第1期の時は、そういうバランスも探り探りのところがありましたけれど、今はかなり慣れてきましたし、それでよりネタが濃くなってるところもあるのかもしれませんね。

——第2期になって、シナリオ会議も充実しているようですね。

松原 『おそ松さん』の会議は藤田さんの人柄が出てるのか、「楽しく作ろう」「明るく作ろう」という雰囲気があるんですよ。会議がはじまると真面目に話さなきゃいけないし、面倒くさい作業もありますけど、それでも明るく前向きにできるように務めて。せめて打ち合わせ場所だけでも変えようって、会議室だけじゃなくて喫茶店の個室でやったり。熱海に連れてってもらって、温泉入りながら会議したこともあります。先日はフジオ・プロさんの部屋をお借りました。木のテーブルがあって、座布団があって、赤塚先生のお仏壇が見えてて。で、じゃあ一段落して呑みに行こうかってなっても。酔っ払うまではシナリオの打ち合わせが続いてたりとか。それはちょっと特徴かな、と。「夏のおそ松さん」なんかは、そのワイワイした雰囲気がエピソードにも反映されたかなと思いますね。




(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部