• 押井守が語る『ぶらどらぶ』で久々にシリーズアニメに戻ってきた理由
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2021.02.01

押井守が語る『ぶらどらぶ』で久々にシリーズアニメに戻ってきた理由

(C)2020 押井守/いちごアニメーション

『ぶらどらぶ』で、久々にアニメの世界へと帰還した押井守総監督。本作は押井総監督にとって『うる星やつら』以来のシリーズアニメ、しかもドタバタコメディということでも大きな話題を呼んでいる。これは原点回帰か、はたまた新たな挑戦か。一度口を開けば止まらない押井トークの前半戦、まずこの話題から。

▲押井守総監督。

――久々にテレビシリーズフォーマットの作品を手がけられたわけですが、まずはその感想からお聞かせいただけますか。

押井 一言で言えば面白かったです。そもそも今回は「シリーズを楽しむ」をテーマにしていたからね。

――そうなんですか!

押井 『うる星(やつら)』をやった時は「もう(シリーズものは)こりごりだ」と思ったわけ。もっとクオリティの高い成果物が欲しくてフリーになって、OVAのミニシリーズ、『御先祖様(万々歳!)』と『(機動警察)パトレイバー』みたいな例外はあっても、基本的に映画一本でやってきたんだけど……気が変わったっていうか。今改めて考えると、映画は表現の王様じゃないよ、監督をやるならシリーズが断然お得。

――そこまで言い切るとは。180度考えが変わったんですね。

押井 2~3年かけて時間も予算もたっぷりかけて工芸品のような作品を作るのも良いんだけど、決定的だったのは『CSI:科学捜査官』や『FRINGE/フリンジ』、『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいな海外ドラマを観ていて「映画の仕事とドラマの仕事、やるならどっちが楽しいかな?」と考えたことだね。

ましてや歳が歳だしさ、今年70だよ? 奥さんには「もうやめたら? あんたはどうせ時代に合わないんだし」なんて言われてるけど(苦笑)、どう考えても仕事をしているほうが楽しいし、何もなければあと10年は現場にいられるとは思う。

でも、3年経っても形がわからない宮(崎駿)さんみたいな仕事はしたくないんだよ(一同笑)。あの人はアニメーターだから絵を描いていれば仕事をしている手応えがあるんだろうけれど、監督という仕事は一刻も早く答えが欲しいんだ。じゃないと次に行けないし。

――なるほど。

押井 だから『スカイ・クロラ(The Sky Crawlers)』が終わった頃かな、「俺はこれから “数” をやるぞ、来る仕事を片っ端からやるぞ!」とあちこちに触れ回ったわけ。なのに、全然(依頼が)来ない(笑)。

――嘘でしょう?

押井 いや、本当に来ない、まったく来ない。

――2度言いましたね(笑)。

押井 で、仕方なく本を書いたり、お手伝いをしたりして……まあ『ガルム・ウォーズ』っていう大物があったけど、これをまた3年くらいやって、またしみじみ思った、「こんだけ辛くてしんどい思いをしながら、歳をとっていっていいのかな?」って。だけど、その時並行して進めていた実写版『パトレイバー』(『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』)ですべてが変わった。とにかくシリーズを作り上げた方が監督としての達成感があるな、と思った。

(C)2020 押井守/いちごアニメーション

アニメージュプラス編集部