• 【細田守インタビュー・前編】もうひとりの自分と向き合い強くなる主人公
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2021.07.17

【細田守インタビュー・前編】もうひとりの自分と向き合い強くなる主人公

(C)2021 スタジオ地図

7月16日(金)公開の細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』は、10代の少女の悩み、迷い、葛藤、直面する現実を描きつつ前向きで力強い希望を感じさせてくれる、胸躍るエンタテインメント映画だ。
主人公は、全世界から50億人が集うインターネット上の仮想世界〈U(ユー)〉に、“もうひとりの自分” として参加することになる女子高校生の内藤鈴(すず)。
内気なすずは〈U〉の歌姫のベルとなり、誰もが「自分のために歌ってくれている」と感じられるような不思議な歌声で、たちまち世界中の人気者になっていくのだが……。
そんなストーリーと映像に込められた思いを、細田守が語るロングインタビューをお届けしよう。

【画像】『竜とそばかすの姫』場面カット(写真14点)

出発点はインターネットの現在

ーー今回の映画『竜とそばかすの姫』は、どんな発想から出発したのでしょうか。

細田 思い返すと、前の作品の『未来のミライ』(2018年)が完成する前だと思うけれど、何となく次の作品はインターネットの話かなと思っていたんですよ。20年前に『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(2000年)という作品を作り、10年前くらいに『サマーウォーズ』(2009年)という作品を作ったのですが、そこからまた時間が経って、ネットの環境ってすごく変化したなと思っています。だとしたら、その変化した環境をもとに今、ネットを題材に映画を作ったらどういうことになるだろうというのが、発想の最初のきっかけかな。実はかなり前、2017年くらいからそんなことを思っていたんです。

ーー「インターネット」が最初のキーワードだったんですね。

細田 そう、ちょうど『ぼくらのウォーゲーム!』から約10年後に『サマーウォーズ』を作り、そこから10年と少し経ってみたらネット環境がさらに変わっていた。いまネットといえば、誹謗中傷、罵詈雑言、書き込んだ人を特定、裁判…みたいなことまで現実には起きるような状況になってきた。でも、そうならざるを得ないくらい、ネットと現実が近づいているという感覚がありますよね。それに輪をかけてこのコロナ禍で、ある意味、ネットの世界がより身近になったじゃないですか。たとえば、こんなにテレワークが進むとは思わなかったし、本当はこのインタビューだってリモートでも可能だった(笑)。そういう風に、現実と変わらない存在になったインターネットをどう映画にして描くとおもしろいかな、というのがポイントです。

ーー現実のネット社会の変化と同様に、細田監督自身のネットの捉え方、接し方が変化している、ご自身のインターネット像も変わっているのかなと思うのですが。

細田 たとえばうちの子供はまだ小さくて8歳と5歳ですけれど、これからインターネットがあるのが普通の時代を生きていくわけでしょう。そこで、どういう人間関係を作っていくのか。ネットの存在が彼や彼女の生き方にどう関わってくるのかなと思うと、他人事ではいられないという思いはあります。でも、ネットを手放すこともできないですよね。今の子たちはTVを見ないでネットを見ていると言われるけど、僕らが小さい頃は「本も読まないでTVばっかり見て」と言われていた。今、「ネットばかり見ないでTVを見ろ」という人はあまりいないかもしれないけど(笑)、そのくらい変化しているわけじゃないですか。もちろん、本を読めと言っても電子書籍化したりして、出版の状況も変わっているけれど……でも、やっぱり紙の本も読んでほしいし、アニメージュも手に取ってほしいですよね(笑)。まあ、そういう変化はありますよね。

(C)2021 スタジオ地図

アニメージュプラス編集部