• 湯浅政明監督『犬王』ジャパンプレミアで判明した “必見” の理由!
  • 湯浅政明監督『犬王』ジャパンプレミアで判明した “必見” の理由!
2021.11.04

湯浅政明監督『犬王』ジャパンプレミアで判明した “必見” の理由!

(C)2021 “INU-OH” Film Partners


【音楽のエネルギー】
「犬王という能楽のスターがいて、それが当時のポップスターであったという感じでロックミュージシャンの写真も添えられていたのがおもしろいなと思いました」
湯浅監督は本作の企画を最初に受け取った際の気持ちを、そう語った。
それゆえか、作中で犬王と友魚の奏でる音楽は、古典的な能楽や琵琶の音色が60〜70年代風のロックミュージックへと接続された独特のスタイルとなっている。
音楽を担当したのは、大友良英。
『あまちゃん』の音楽で一躍その名を知られた大友だが、もともとはジャズやアヴァンギャルドな即興演奏、ノイズミュージックの世界で世界を股にかけ活躍していたミュージシャンであり、その先鋭的な感性と幅広い音楽性が、本作では遺憾なく発揮されている。
室町時代の人々を魅了していく革新的かつ挑戦的なサウンド。
それは、現代の観客にも鋭く突き刺さる。

【パフォーマンスの強度】
躍動する映像と挑戦的な音楽——そこに魂を刻み込んで強靱なパフォーマンスへと昇華したのが、犬王と友魚を演じたふたりのキャストだ。
犬王を演じるのは、人気バンド・女王蜂でボーカルを担当するアヴちゃん。
友魚を演じるのは、実力派俳優であると同時にダンサーとしても知られる森山未來。
「アヴちゃんは、役として演じてもらってキャラクターを理解してもらってから、歌詞を作ってもらいました。曲があって、何となく言いたいことが決まっているなかで、犬王が歌うならどんな感じになるだろうと作ってもらい、どんどん理解を深めてもらいました。歌唱指導もアヴちゃんが先頭に立っていましたし、アヴちゃん自身が犬王になっていくような感覚で、こちら側も作っていきました」
「(森山さんも)琵琶監修の後藤(幸浩)さんに実際に琵琶を習って、琵琶法師に対する理解を深めて。実際、かなり琵琶も弾けるようになっていました」
こう湯浅監督も語っているとおりで、それぞれに犬王、友魚と一体化したかのようなアヴちゃんと森山のパフォーマンスは本作の肝。
二人のパフォーマーとしてのパワーが注ぎ込まれたことで生まれた、犬王と友魚の鮮烈な存在感は間違いなく必見だ。

アニメーション映像によって増幅される音楽。
音楽によってより鮮明になるアニメーション映像
その両者を結びつけながら、圧倒的なパフォーマンスを生み出す演技。
その興奮と熱狂は、ぜひ劇場の大スクリーンで、大音響で、可能ならば湯浅監督の言うように身体を動かし、踊りながら体感したい。
さらにはパフォーマンスを通して語られる犬王と友魚のストーリーと、そして、その奥底で伝えられるテーマやメッセージを感じ取ってもらいたい。
2022年初夏の劇場公開を、楽しみに待ちたい。

(C)2021 “INU-OH” Film Partners

アニメージュプラス編集部

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