• 安彦良和初監督作『クラッシャージョウ』は娯楽第一のアクション快作!
  • 安彦良和初監督作『クラッシャージョウ』は娯楽第一のアクション快作!
2022.02.12

安彦良和初監督作『クラッシャージョウ』は娯楽第一のアクション快作!

(C)高千穂&スタジオぬえ・サンライズ


その制作姿勢と重なるように、本作の目指したものはいわゆる「重い超大作」ではなくB級アクションのプログラムピクチャーと言えるだろう。物語は殊の外シンプルにまとめられており、あとはとにかくキャラとメカが画面狭しと動きまくる。
作家性云々よりも『クラッシャージョウ』の世界を形にすることを優先した、アニメーター・安彦良和の力が存分に発揮された本作の肌触りは、実に軽やかである。善悪関係なくキャラの表情やアクションには漫画的表現が惜しみなく投入され、時にはスタッフがモブキャラで登場したり『ガンダム』のハロが画面を横切るなど作画の端々にも遊びの余裕が感じられるなど、とにかく作品を楽しもうという作り手の思いが観る側に十分に伝わってくる。
▲本作の大きな鍵となるもう一人のヒロイン・マチュア(右)の存在にも注目だ。

さらに「スペシャルデザイン」というクレジットで、著名漫画家がゲストキャラ&メカデザインを担当しているのも本作の大きな見どころ。参加作家は吾妻ひでお、いがらしゆみこ、いしいひさいち、大友克洋、高野文子、高橋留美子、竹宮恵子、とりみき、鳥山明、細野不二彦、御厨さと美、和田慎二(五十音順)という豪華ぶり。さらに何人かはモブキャラとしても登場しているので、ぜひチェックしてもらいたい。

『クラッシャージョウ』は1983年3月12日に全国公開されたが、図らずも同日に角川映画初の劇場アニメ『幻魔大戦』(りんたろう監督)が、そして1週遅れて『宇宙戦艦ヤマト 完結編』(勝間田具治・西崎義展監督)が公開されたことから「83年春の3大劇場アニメバトル」のような扱いを受け、大きな話題を呼んだ。結果として興収は6億6000万円と3作の中で最下位に終わったが、今なお作品としての評価は高く、近年ではイベント再上映が数多く実現。当時のファンは勿論のこと、新しいファンを獲得し続けている。80年代アニメシーンに新たな扉を開いた安彦良和の野心と才能をフラットに評価できる絶好の機会となる今回の放送で、本作の魅力を存分に味わってもらいたい。

ちなみに、2022年2月に発売されたばかりの原作シリーズ新刊(別巻3)は、本作でも印象に強い名キャラクターが主役を務める『コワルスキーの大冒険』(ハヤカワ文庫JA)。本作と併せてチェックしてみてはいかがだろうか。

>>>『クラッシャージョウ』場面カットを見る(写真26点)

(C)高千穂&スタジオぬえ・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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