【玲王と同じように、自分も器用貧乏だと感じることがあった】――共演者の方の印象は?斉藤 主人公の潔世一(いさぎよいち)役・浦和希(うらかずき)くんは、とにかく朗らかで、ハキハキとしていて、非常に気持ちのいい方なんです。座長としてはもちろん、人間としても素敵な方だなと思っています。
一度、浦くんが別日で収録することがあったのですが、僕が行くと音響監督さんたちが「浦くんの大きな声が聞こえないと寂しいなぁ……」と話していて、“浦ロス” になっていたんです。そのときに改めて、彼の明るくポジティブなエネルギーが現場をすごくいい雰囲気にしていることを感じましたね。
収録の際の印象は、國神錬介(くにがみれんすけ)役の小野友樹さんと浦くんが一緒になって、現場を明るくしてくれている感じでした。逆に、蜂楽廻(ばちらめぐる)役の海渡翼(かいとたすく)くんは、穏やかに一歩退いて見守ってくれている感じでしたね。
本当はこういう状況下でなければ大人数で収録するとより熱量も高まるような作品だと思うのですが、分散収録の中でもすごく気合が入った収録になったと思います。
――収録していて印象的だったキャラクターは誰ですか?斉藤 やっぱり絵心甚八(えごじんぱち)さんですかね。
裏主人公のような立ち位置の非常に重要なキャラクターで、彼の説得力がとても大事になってくるのですが、神谷(浩史)さんのお芝居が本当に素晴らしく、我々選手陣も気を引き締めて毎話の収録に臨めました。
――斉藤さんに一番近いキャラクターは誰ですか?斉藤 御影玲王(みかげれお)ですかね。もちろん彼ほど裕福な家庭で育ってきたわけではないのですが、僕も子供の頃から自分が器用貧乏だと感じることがあって。玲王はサッカープレーヤーとしても全ての能力に秀でている一方で、突出したオンリーワンの武器がないというところにすごく共感しました。何でも器用にできるけれど、本当に才能がある人や、本当に努力を続けてきた人には勝てないというところが、人間くさくて好きですね。
今回アニメでどこまで描かれるか分かりませんが、原作で玲王が『ブルーロック』という環境の中で変化や成長していくエピソードには、個人的にグッときました。
――では、斉藤さんが「こんな風になれたらいいな」と憧れるキャラクターはいますか?斉藤 原作からになりますが、士道龍聖(しどうりゅうせい)かな。彼は本当に何をするか予測できない選手なんですよね。でも、人間的にというよりは、その異質な存在感に惹かれますね。
これからどんどんAIが発達してくると思うので、サッカーのみならず、芸術的な表現なんかもすごく難しくなってくると思うんです。なので、今後はお芝居も再現の不可能性とか、予測の不可能性とかが大事になってくると考えていて。
今ってボイスロイドとかもすごいんですよ! すでに癖があるんですよね。でも、ボイスロイドが文章を自分で生み出して、コントロールするということはまだできないし、言いよどみや声のかすれ、言い間違いや変な間といった、二度はできないものを表現するのは難しい。そういった部分がこれから芝居としても重要になってくると思うんです。
士道はある意味アーティスティックな人だと思うので、ピッチの上で芸術家として誰にも予測ができない表現を繰り出していく姿は憧れますね。
――映像をご覧になった感想をお願いします。斉藤 大画面で見たくなるような絵作りだなと思いました。僕もまだデータで頂いただけなので、タブレットやスマートフォンの画面でしか見ていないのですが、皆さんも環境が許す限り、ぜひ大きいスクリーンや良い音響でこの世界観を堪能してほしいなと思います。