入野自由が新曲・カバーでチャレンジを重ねた最新ミニアルバムの魅力

――豪華盤の特典CDには、カバーソングが6曲収録されています。入野さん自身、ずっとカバーに挑戦してみたかったとのことですが、どのように選曲されていったのでしょうか？

入野　選曲はとっても難しくて……会議室にスタッフと集まって、ホワイトボードに自分のやりたい曲とか、スタッフチームから募った「こんな曲を歌ってほしいリスト」から曲名をダーッと書いていきました。
自分の知っている曲だけにしたくないという思いがあったし、僕の声や音楽を知ってくれている人たちに、「こんな曲が合うんじゃないか」って提案してもらうことで、新しい発見もしたかったんです。さらに、自分が好きな曲ももちろんあって……なので、ものすごい数の中から、何度も会議をして決めていきました。

僕が歌いたい曲ですぐ決まったのは『Rain』。これは、自分が『言の葉の庭』という作品に出演していて、エンディングソングとして秦（基博）さんがカバーで歌われていました。機会があれば僕も歌ってみたいと思っていたので選びました。

――カバー楽曲のレコーディングはいかがでしたか？

入野　歌う前の段階として、アレンジを決めていく作業が難しくて……。カラオケっぽくなるのも嫌だし、かといってやりすぎてもダメだし、自分にはそういう部分での音楽的センスというか強みがないので苦戦しました。
オリジナルが自分の中に染みついて残っているので、自分が歌った曲を聴いてみると違和感を感じたり。そういう意味での難しさはありました。

――それはどうやって乗り越えたのでしょうか？

入野　オリジナル楽曲の時よりもいろんな表現を試してみて「これは合うかもしれない」とか「これはシンプルに歌おう」とかを繰り返していきました。あとはミックスやアレンジの部分で調整していただいて……出来上がったものを聴いてみると、すごくいい仕上がりになったなと思いますし、改めて “自分の声” というものにフォーカスした印象があります。
どんなものが自分に合うかとか、カバーってどんなものかというのをじっくり考えるきっかけにもなったので、ものすごく苦しかったんですけど、やってよかったなと強く思います。

――ジャケット写真はどんなイメージで撮影されましたか？

入野　今回はデザイナーさんから提案してもらった案の中で「このカメラマンさんのテイストがすごくいい、色味も含めて好きだ！」と感じて、初めての方でしたがお願いしました。『FUN！！！』じゃないですけど、ローファイ感やフィルムっぽさを狙った作品にしたいと思ったんです。
僕は、新しいものに対して拒否反応がないというか、むしろどちらかというとそっちに触れていきたいと思っているので、チャレンジすればお互いにとって良い刺激になるんじゃないかなと感じたんです。

――入野さんは、何かを選択する時に “挑戦” を選んでいらっしゃるように感じます。

入野　そうですね、毎回ではないですが……昔、親に「身の丈より高いところに身を置けばそこに順応していくから、楽をしないほうがいいんじゃないか」というようなことを言われた覚えがあって。なので、何かやる時は面倒なほうに足を突っ込みがちというか、やってできなかったらどうしよう……だけど、その時はしょうがないか、みたいな（笑）。そうして選んだ道でまた新しい出会いがあったりするので、本当に幸運なことだと感じています。

――今作はどんな1枚になったと、ご自身で感じていますか？

入野　結果、すごく面白いCDになったなあ、と。DISC1のオリジナル曲のほうは、作ってくれたメンバーが若くて、音楽的にも ”今” を作っている人たちで制作していて、DISC2のほうでは80年代とか90年代くらいの “昔” の曲がベースにあるところが面白いかなと思っています。
こうして音楽活動を10数年やっても、まだまだ新しいことっていっぱいあるんだなということを実感しましたし、聴いてくださる皆さんにとっても「自分はこんな曲が好きなのかもしれない」というような、新しい発見を楽しんでいただきたいです。自分なりのこだわりというものを随所に詰め込んでいますので、是非まるっと楽しんでいただければ嬉しいです。

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