• ドラマ『推し武道』振り付け:沢口かなみに聞く!ライブは7回観て!
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2022.11.25

ドラマ『推し武道』振り付け:沢口かなみに聞く!ライブは7回観て!

(C)平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC



◆舞菜と一緒に試行錯誤◆

――今回は振り付けの制作だけでなく、ChamJamキャストへの指導も担当しているということですが、実際に指導されてみてどうでしたか。

沢口 ダンスを長くやっている経験者の子と、ダンスはほぼ初めてですという子が両方いたので、最初はそこがどうなるか少し心配していました。ただ、経験者は驕らずに、本当はもっと難しいこともできる子たちなんですが、それを出すこともなく作品にあわせて真剣に取り組んでくれて、初心者の子たちも成長の度合いがすごかったです。レッスンを重ねるたびにどんどんレベルがあがっていったので、当初の心配もなくなって、すごく気持ちよくやらせていただきました。

――実際にできあがった映像をご覧になられていかがでしたか。

沢口 レッスンではまだ「この子たちがChamJamになるんだ」という漠然とした感じもあったのですが、衣装に着替えたり、あとは髪をバッサリ切った子もいたので、実際の映像や撮影を見たら「本物になってる!」という感じでしたね。

――では1曲ずつ詳しくうかがいたいと思います。まずは『ずっと ChamJam』について、これは先程お話いただいたようにアニメのときに作られた振り付けですが、コンセプトはどういったものだったのでしょうか。

沢口 先ほどお話したように「洗練はされていない」というところがまずは前提にあって、その上で「一生懸命頑張っている子たち」という感じです。紹介ソングなので、それぞれの雰囲気がちゃんと出るようにイメージしました。自己紹介パート以外でもそれぞれ自由にポーズをしている瞬間があったりと、みんなで同じ振りをずっと踊っているというよりも、「それぞれに!」という感じを強くして、振りとしてはシンプルに作っています。あまり小難しいことはせずに、音のとり方もわりと単調に取り続けるというか、結構シンプルに作っていますね。

――ドラマキャストに振り入れをしていたときのエピソードはありますか。

沢口 事前に練習用の参考映像をお渡ししていたのですが、皆さんしっかり覚えてきてくださったのですごくスムーズに進んで、大変だったということは全然なかったですね。そんな中で一番時間をかけたのは多分舞菜です。舞菜の、みんなにちょっとついていけてない、という描写をどういう風に出すかというところを、監督の皆さんや舞菜役の伊礼姫奈さんと一緒に何度も調整しながら作っていきました。「一生懸命だけどついていけていない、だから応援したくなる!」という気持ちと、「あの子練習してない」と見えてしまうかもしれない苛立ちが、意外と紙一重かもしれないという話になって。

――以前原作の平尾アウリ先生にインタビューした際に、寺田さんに舞菜のダンス演出について聞いて驚きました。

沢口 最初は少しだけ遅らせてみたのですが、ちょっと分かりづらいかもしれないからもうちょっと大げさにしましょうということになって。それで大げさにちょっとつまずいてもらったら、これはこれでちょっとイライラする人がいるかも、という意見がでてきて(笑)。何度も試行錯誤があって大変でしたね。

――その加減は難しいですね。

沢口 練習していないだけの子に見えてしまうと、それは違うので。頑張っているんだけど、ちょっと追いついていないように見える、というニュアンスを作るのに一番時間がかかりましたね。

寺田 技術の上手い下手の指導とはまた違いますしね。

沢口 そうなんです。でも上手でしたよね(笑)。

寺田 これなら間違えてても愛されるなという絶妙な具合を、伊礼さんが見つけてくれました。

沢口 撮影のときも「いい感じで下手だよ!」って声を掛けてました(笑)。

――第1話の七夕まつりのシーンで、舞菜が反対側に動いちゃうっていうのがすごく可愛くて。

沢口 可愛いですよね。

――焦って戻るのがすごく可愛くて。絶妙な間違いですよね。

寺田 あそこも「ちょっと逆いってみますか」という話が監督から出てきて。

沢口 何パターンも試した結果ですね。

――逆に行くというのは間違いレベルで言うとかなり高い方だと思いますが。

沢口 あの場面は、まず全体がこちら側に動いて戻ってきて、その後反対側にいって戻ってくるっていう動きなんです。そこでみんながこっちに行っているのに舞菜だけ逆を向いて、おっとっとと戻る感じなので、ここで逆に行ってしまうというのはそこまで不自然じゃないかなと思います。

寺田 振り付け自体を間違えたというよりは、順番を間違えたという感じですよね。

沢口 あとは一番最後にみんなでササッと寄ってきてポーズをして終わるときに、舞菜だけちょっと出遅れちゃうところとか。伊礼さんはダンス経験がそこまでないとのことだったのですが、一緒に細かく考えてくれました。

――舞菜のイメージを出すだけでも、すごく細かい演出があったんですね。
続いて『Fall in Love』。こちらはアニメのときに楽曲はあったけれど振り付けは新規で作られたんですね。こちらのコンセプトを教えてください。

沢口 演出としては『ずっと ChamJam』よりは少し進化しているイメージから作り始めました。ただ、根本的にすごく難しいことや洒落たことをやっているかというと、多分グループ的にそうではないかなと。『ずっと ChamJam』では音のとり方もシンプルで単調にしていたのを、もうちょっと後ろの音、拍の裏をとるくらいのことはやっていますが、あくまでもシンプルな感じです。ややこしいことはやっていない感は残したかったので、楽曲名にあわせていろいろな形のハートをめちゃめちゃ入れまくっています(笑)。

――シンプルというのは洗練されていないっていうところに繋がっているんですか。

沢口 そうですね。設定として、今どきの振付師が考えたのではないんだろうなというイメージでした。ただ、パッと見て「ダサいんじゃない?」と見えるのは違うと思うので、そこのバランスは気をつけています。

(C)平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC
(C)平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

アニメージュプラス編集部

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