• 水島裕、古谷徹ら豪華キャスト集結『夏への扉』42年ぶりの同窓会イベント
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2023.06.30

水島裕、古谷徹ら豪華キャスト集結『夏への扉』42年ぶりの同窓会イベント

(C)竹宮惠子・東映アニメーション

6月17日(土)に神保町・一橋大学一橋講堂にて《アニメーションプロデューサー・丸山正雄のお蔵出し/『夏への扉』上映+トークセッション》が開催された。
竹宮惠子の短編漫画を真崎守監督が詩情溢れる演出でアニメ化した意欲作を久々に大スクリーンで楽しめた貴重な機会であり、豪華な出演声優陣も登壇したこのイベントの模様をお伝えしよう。

本イベントは、虫プロダクション作品『W3(ワンダースリー)』(1965)でアニメ業界入り、以後もマットハウス、MAPPA、M2などのスタジオで数多く作品を手掛け、今年82歳を迎えながらいまだ現役のアニメーションプロデューサーを務める丸山正雄さんが手掛けた膨大な作品群の中から、上映・放映の機会の少ない作品を厳選して上映、併せて丸山さんと親交が深いクリエイターを招いてのトークセッションを行うシリーズ《丸山正雄のお蔵出し》第3弾企画。

今回の上映作である『夏への扉』(1981)は、当時はまだアニメで描くことがタブー視されていた同性愛や性の目覚めといった描写をまじえながら、少年たちの青春群像を描いた意欲作。現在の目で見てもその挑戦的な姿勢や独特の演出・映像美は鮮烈な印象を残す。
物語の舞台は20世紀初頭のフランス。ギムナジウムの個性的なグループのリーダー格である少年マリオンは少女レダニアとの幼い恋に揺れていた。しかし高級娼婦サラと出会ったことをきっかけに、マリオンと仲間たちとの関係に変化が訪れて……。

◆丸山プロデューサーと辻さんが語る『夏への扉』◆

イベント開始前の丸山プロデューサー、そして招待客として会場に訪れた脚本・辻真先さんにお話をうかがうことができた。
「観た人に『古い』と思われなければいいけれどね、何しろ大昔に作った作品ですから」と少し心配そうな丸山さんに対し、辻さんは「僕はまったく心配していませんよ」と応える。
「何年か前に大学の講義で若い人に観てもらったことがあるけれど、リアクションが非常に良かったです。ベッドシーンやら何やら、『あの時代にここまでやったんですか?』って(若い人も)驚いていたし、当時から感心していた(真崎)守ちゃんのカメラの使い方やカットのつなぎ方なんかもちゃんと届いていましたから」という辻さんの言葉に、丸山さんもようやく安心した様子に。

この作品への取り組みについて丸山Pに改めてうかがってみると、
「あまり日本のアニメっくない作りにしよう、という狙いがありました。なのでフランス語のナレーションを入れたり、音楽を(セルゲイ・)ラフマニノフ風にしてくれとハネケン(音楽=羽田健太郎)に頼んだり、実は割に思い切ったことをやっているし、遊びがいっぱい入っています」という回答が。

さらに丸山さんは「僕は『エースをねらえ!』(1973年)とか少女マンガのアニメを作ったし、同じ竹宮惠子さん原作の『地球へ…』(1980年)もあったけれど、やっぱり男性向けとして作っていた。でも『夏への扉』は完全に女性向けに振り切って、キャラクターデザイン、美術、音楽、トータルで女性路線をやった最初(の作品)だと思う」と本作の革新性を語り、辻さんも「僕の意識もそうだった、本当に開き直って少女マンガをやりましたからね」とこれに賛同した。
「それが時代を切り拓いた部分はあるのかもしれないね……でも考えたら、僕はその後もマッドハウスでそんなことばっかりやっているかな(笑)」(丸山P)

豪華なキャスト陣について訊ねると……
「当時は新人の男の子を4人使っただけだったのに、今回集まってもらったら『おお、豪華なキャストだった!』ってなってたね(笑)」(丸山P)
「つまり、それだけ丸山さんが “目利き” だったわけですよ」(辻)。

(C)竹宮惠子・東映アニメーション

アニメージュプラス編集部

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