• 水島裕、古谷徹ら豪華キャスト集結『夏への扉』42年ぶりの同窓会イベント
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2023.06.30

水島裕、古谷徹ら豪華キャスト集結『夏への扉』42年ぶりの同窓会イベント

(C)竹宮惠子・東映アニメーション


◆作品の記憶と丸山Pとの仕事の思い出◆
古川さんが「『夏への扉』で僕が覚えているのは、潘ちゃんがすごくかわいかったなってこと」と語ると、三ツ矢さんは「(クロードが)厩舎の馬小屋から飛び出して “うわぁーっ! ”と叫ぶシーンをやったあとに、古川さんが僕に『あの叫び声は、三ツ矢じゃないとできないよな』って。それは褒められてるのかな、どっちかなと思いつつ、古川さん、僕のことよくわかってらっしゃると思ったのを覚えてます」と、当時を振り返った。

古谷さんは「『夏への扉』をやる3年前の(水島)裕が『一球さん』をやっている頃、僕も一緒に出ていたんだけれど、当時二人でファンミーティングをやったんです。その時、竹宮惠子先生の『風と木の歌』を朗読劇でやったんですよ」とエピソードを語ると、水島さんも「そうだ! あなたの発案で(やった)。言われて(記憶が)蘇った!」とリアクション。
その際、古谷さんは竹宮さんに直接、許可をもらう手紙を書いて快諾をもらい、後日、朗読劇を録音したカセットテープも送ったそうで、「そんな経緯があった3年後に『夏への扉』。それから『地球へ…』にも『アンドロメダストーリーズ』にも出させていただいて」と竹宮作品との自身の縁を感慨深そうに振り返っていた。

また、三ツ矢さんは本作について「42年前からLGBT問題を扱っているという、先見の明が凄いと思います」と評価、「そして、それを演じた僕が何も変わっていないというのも(凄い)」と続けて場内を沸かせた。
「当時は一応 “ええっ、わかんないなぁ……” みたいな顔をしていましたが、本当は何から何まで理解してました! クロードの気持ちは全部、僕のもの! そんな気持ちでやりましたけれど、やっていて気持ちよかったです」と笑いをまじえつつ、作品や役柄への強い思い入れを感じさせてくれた。
それに続く三ツ矢さんの「あれから丸山さんは僕に変わった役しかくれません。この作品はそんな節目になった気もしますが……嫌な気持ちはいたしません(笑)」という言葉をきっかけに、それぞれの丸山さんの作品での仕事を振り返る流れに。

「丸山さんはこれをきっかけに、今日にいたるまでずっと間断なく声をかけてくださって、本当に恩人です。昔だと辻真先先生の脚本で『火の鳥 鳳凰編』の茜丸ですね、それから最近では『からくりサーカス』のフェイスレス、これは大好きなキャラクターです。難しいキャラクターでしたけど、自分の守備範囲が広がったような気がして、本当に感謝しております」(古川さん)。

「『幻魔大戦』(東丈役)があったり……そのあとは『パプリカ』(時田浩作役)ですね」(古谷さん)。

「僕は大友克洋監督の『工事中止命令』(オムニバス作品『迷宮物語』内の一編)とりんたろう監督の『X電車で行こう』。どちらも当時衝撃的な作品で、僕が普段やらせてもらわないようなタイプの役でした」(水島さん)。

そして潘さんは「私は徹さんと一緒だった『幻魔大戦』(沢川淳子役)や、みんなも出ている『銀河英雄伝説』。それから、うちの娘が大変お世話になった『HUNTER×HUNTERA』で育ての親(ミト役)をやらせていただいて」と、娘である潘めぐみさん(『HUNTER×HUNTER』[ゴン役])と親子二代にわたって丸山作品に出演していることを感謝した。

すると丸山プロデューサーも、「オーディションで “潘という名字はあまりないな” と思いつつ、ちょっと顔を見て親子とは思えなかったから、関係はない人だろうと思って男の子役でキャスティングしたら、のちのち “姉です” って言って現れた人がどっかで見た人だった(笑)」と『HUNTER×HUNTER』親子共演時の貴重な裏話を披露してくれた。

終盤には、イベント翌々日の6月19日に82歳の誕生日を迎える丸山プロデューサーを祝って、三ツ矢さんのリードで一同が「ハッピーバースデートゥーユー」を合唱、さらには先に話題に上った潘めぐみさんがサプライズで登場、丸山さんに花束を贈呈するという、過去と現在がひとつになるような微笑ましい一幕もあった。
▲潘めぐみさんから丸山プロデューサーへ花束贈呈

今回のイベントは、同時代に同じ世界で活躍していた面々ならではの楽しいトークが繰り広げられ、作品が、キャストが、そしてファンが歩んできた時代をあらためて実感させるような時間となった。
またステージでは基本ニコニコ笑いながら聞き手にまわっていた丸山プロデューサーだが、ベテランの声優陣から絶大な信頼を集め、また現在も『夏への扉』の時と同様に攻めの姿勢で斬新な作品に挑戦し続けていることを熱く語る場面が強く印象に残った。

アニメというジャンルが歩んできた時間の長さと濃密さ、その一方で決して古びることのない挑戦的な作品の魅力、積み重ねたキャリアの厚みと変わらぬ新鮮さを感じさせてくれた声優陣――『夏への扉』という画期的な作品を通して、様々なことを感じ取ることができる貴重な機会となった。

▲当日会場に展示されていたポスターや台本、原作掲載誌など貴重な資料の数々

>>>『夏への扉』作品ビジュアルやイベントの様子を見る(写真12点)

(C)竹宮惠子・東映アニメーション

アニメージュプラス編集部

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