• 【1/6ガイバーI】原作者・高屋良樹と「原点回帰」を目指したスタッフ開発秘話
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2023.09.05

【1/6ガイバーI】原作者・高屋良樹と「原点回帰」を目指したスタッフ開発秘話

(向かって右より)究極の仕上がりとなった1/6アクションフィギュア「ガイバーI」の元原型、彩色を担当したマックスファクトリー代表・MAX渡辺さん、監修を担当した原作者高屋良樹さん、本製品原型制作を担当したマックスファクトリー・小林義仁さん


――ということは、今回の1/6アクションフィギュアは長年の悲願だったというわけですね。今回の企画はどういうところから始まったのでしょうか。

渡辺 千値練の「ULTRAMAN」があったじゃないですか。まず、あの関節がしっかりしていてすごいな、と思ったんですね。

――広い可動域とLED内臓の発光ギミックを備えた12インチサイズのアクションフィギュア「12’HERO’s MEISTER ULTRAMAN」(2016年発売)ですね。

渡辺 「これらの技術があれば僕が望んでいた1/6ガイバーが作れるな」と思い千値練に相談したところ、いろんなアドバイスを戴けまして。じゃあ外観を作ろうとなって、そこから小林の作業が始まります。

小林 僕が渡されたのは素体にスキャンした昔の1/6ソフビの外観を被せた、一応可動する試作品なんです。まずはこれをどうブラッシュアップしていこうか、と社長(渡辺氏)・高屋先生と打ち合わせしたわけです。そしたら「とりあえず毎日日報を提出せよ」ということになりまして。

――日報?

小林 1日の作業で進めたところを逐一報告しろと言われましたので、毎日仕事が終わると作業中のパーツの画像を撮ってメールで先生に送る。そしたらまた怖ろしいことに、すぐに返事が来るんですよ(笑)。で、さらにそれを直してメールして……の繰り返しを約2年も続けたんですよ。
▲小林義仁さん

高屋 こちらは戴いた画像に赤を入れるわけです。「ここの角度はこんな感じ」とか「ここのディテールはこうなっているよ」みたいな感じで。あとは絵を描いて、それを写真に撮って送ったり(笑)。

――アニメや実写作品などもありますが、資料は基本的に原作遵守という感じですか? 

小林 先生の意思が最優先ですね。毎日戻って来る直しの指示をもって、先生の頭にあるイメージを形にしていく作業を進めました。

渡辺 実際の資料は高屋さんの絵なんですが、まだ描かれていない高屋さんの頭の中にしかない設定があるわけですよ。それを立体で表現した時「実はこういうものなんです」と言われ続ける後出しじゃんけん状態の中で、ひたすらにそれを調整していくんですね。

小林 絵の中では演出や見せ方によってごまかしが効きますけど、立体ではそれができなくて、身体にあるパーツひとつひとつのサイズや位置・見せ方をしっかり決める作業が必要なわけです。

渡辺 そのやり取りって「監修」とは言わないよね(笑)。

小林 そうですね、いわゆる「監修」という言葉では収まらない作業です。例えば側頭部のウネウネした部分も適当にウネウネしているわけではなく、「筋が一本一本引っ張られてギュッとなっている」という説明があったり、手の甲の握った時、開いた時の装甲の状態など、逐一教えて頂きましたね。先生が自分の手にマジックでその指示を描いて、写真を送って来た時は驚きましたよ(笑)。

――小林さんだからこそ、そこまでの細かいチェックが許された部分もありましたか?

高屋 これくらいのことはいつでも言えるんですけれど、毎日画像送ってくれるし、ここまでちゃんと付き合って形にしてくれる人がいなかっただけ(笑)。小林さんとの最初の仕事はBFCのDr.バルカスですよね? あれもすごくよく出来ていましたし。

小林 ありがとうございます! とにかくやるべきことを淡々と毎日進めていただけ、と言えばそれまでなんですが、いつ終わるかがまるで読めなくて。すべてを手作業で進めていくわけで、とにかく時間がかかるんですよ。よく会社も許してくれましたよね。

渡辺 僕だって「小林、長すぎるだろ!」と思っていましたよ(一同笑)。でも、これは彼にしかできなかったんですよ。小林は単に外観を作るだけじゃなくて、首や手足を動かした時にどう見栄えが変わるか、それを自然に見せるためにパーツはどう対応すればいいかみたいなところまで考え抜いて、しかもそれを量産品=プロダクトの範疇に収まるようにまとめてくれているんです。

――どう可動させてもガイバーである、ということを意識して作られているわけですよね。

渡辺 それが大前提で、そのための工夫は相当やっていますよ。

高屋 例えば、初代ウルトラマンのフィギュアっていっぱいあるんですけれど、スペシウム光線のポーズがしっかりとれるものってすごく少ないですしね。

渡辺 あれは難しいんですよ、肩を相当前に動かさないといけなくて。そういう部分に関しても本製品では真面目に取り組んでいますね。

小林 インナーフレームがありつつ外装をつけ、勿論ガイバーとしてのポーズがすべて決まります。あと劣化しないように固い材質で作っているけれども、それで動きが制限されないような工夫をしたり、あくまで生物であるという質感も大事にしました。


(C)高屋良樹/KADOKAWA

アニメージュプラス編集部

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