• 武内駿輔さんが語る映画『バービー』、そしてケン役を通して見た「自分らしさ」(前編)
  • 武内駿輔さんが語る映画『バービー』、そしてケン役を通して見た「自分らしさ」(前編)
2023.10.24

武内駿輔さんが語る映画『バービー』、そしてケン役を通して見た「自分らしさ」(前編)

映画『バービー』の世界観に合わせたピンクの衣装に身を包んだ武内駿輔さん。 (C)2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

アメリカで生まれたいわゆる「バービー人形」は、オシャレでかわいいというだけではなく、常に時代の先端を行く「女性像」を反映してきた。性別や人種を越え「You Can Be Anything(なりたい自分になれる)」というメッセージを発信するバービーは、文字通り世界中の女の子たちの憧れで在り続ける存在だと言えるだろう。
そのバービーの世界を初めて映画化し、この夏の話題作として日本では8月11日に公開された映画『バービー』だが、早くも10月25日(水)にデジタル先行販売、11月22日(水)にはデジタルレンタル/ブルーレイ・DVD発売、レンタルがそれぞれ開始される。
今回は、その日本語吹替版で、ライアン・ゴズリングが演じるケン役として出演した声優の武内駿輔さんにお話を伺った。
※記事中には作品の具体的な内容に触れる部分、いわゆる「ネタバレ」が一部含まれます。ご了承ください。

映画『バービー』で監督/脚本/製作総指揮を務めたのは、監督デビュー作である『レディ・バード』(2017年)でアカデミー監督賞・脚本賞にノミネートされ、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年)では全米映画批評家協会賞の監督賞を受賞するなど、ハリウッドで高い評価を受けるグレタ・ガーウィグ。

自身も幼い頃からバービー人形で遊んでいたというガーウィグが構築した作品の世界観はきらびやかでポップで絢爛豪華、つまり世界中の人々がバービーに抱いているイメージそのものだと言える。どんな自分にもなれる、夢のように完璧な日々が永遠に続く「バービーランド」で暮らすバービーたち(そしてバービーのボーイフレンドであるケンたち)には、現実社会で生きる人間たちのような悩みはない。しかし、ある日突然マーゴット・ロビー演じるバービーの体に異変が起きる。その原因を探るために人間の世界へと向かうバービーに、ケン(ライアン・ゴズリング)も付いていくことに。そこで2人が見たものは、完璧とはほど遠く悩みに満ちあふれた世界の真実だった。バービーは女性として、ケンは男性として、それぞれが人間社会で見たものに対しての思いを抱えながら、2人は別々にバービーランドへと戻っていく。そして、それがバービーランドに、さらにバービーとケン自身に大きな変革をもたらすこととなる。

――というのが、映画『バービー』のあらましだ。バービーとケンという、ある意味ではステレオタイプな女性像・男性像を描写しながら、その両方に世の女性と男性の悩みを投影し、「なりたい自分になる」ということはどういうことか、そもそも「自分」とは何なのか、ということを自問させていく物語の語り口には、この作品が世界中でセンセーションを巻き起こした理由が詰まっている。一見すると極めてフィクショナルな、誇張されたビジュアルを通して描かれているのは、観客がリアルな人生を生きる上で避けては通ることの出来ない普遍的な問題である。つまりこれは、男女を問わず人間が自らのアイデンティティを追求する物語なのだ。

そんな映画『バービー』で、バービーと並んで最も重要な役割を担っているキャラクター、ケン(ライアン・ゴズリング)の吹替を担当した武内駿輔さんは、どのようなことを感じながら演じていたのだろうか。前後編の2回にわたってお届けしたい。

>>>武内駿輔さん撮りおろし写真や作品場面カットを見る(写真10点)

(C)2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

アニメージュプラス編集部

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