• 【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】「それぞれの剣」が貫きもたらす悲劇の連鎖
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2023.10.20

【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】「それぞれの剣」が貫きもたらす悲劇の連鎖

シン・アスラン・キラのドラマが大きく動き出す第2作『それぞれの剣』(C)創通・サンライズ


そして、ここから存在感を示し始める二人の女性キャラが本作の大きな注目ポイントになっていく。
まずは地球連合軍の特殊部隊「ファントムペイン」に所属する強化人間(エクステンデッド)ステラ・ルーシェ。ガイアガンダムのパイロットとしてミネルバと激戦を繰り広げるが、コクピットを離れれば驚くほどの純粋無垢な少女として振舞っている。
そんなステラが、ディオキアの海岸で偶然シンと出会うことに。無邪気に踊り海に落ちてしまったステラを助け介抱する中、そのあまりにも不確かな存在感がシンの心を強く揺さぶっていく。インパルスガンダムという大きな力を得た自分が守らなければいけないのは、こういう存在なのではないか、と――。

その先入観があるからこそ、後にステラがガイアのパイロットであったことが判明してもシンの心は決して変わることはない。「戦争の犠牲者」であるステラを幸せに導くことこそが、家族を救うことができなかったシンの大きな目的となっていくのだ。
だが地球連合軍にとって、強化人間はどこまでいってもMSのパーツのひとつにすぎない。シンの願いとは裏腹に、戦争は過酷な未来をステラにもたらすことになる。

そしてもう一人は、ミーア・キャンベル。姿を消してなおプラントで絶大な人気を誇るラクス。その力を政治的に利用しようとするデュランダルが用意した、かりそめの歌姫だ。
2年ぶりに姿を現したラクス=ミーアは、かつてよりもアップテンポなステージングを披露し民衆や兵士たちを魅了し、ミーア自身もラクスとして振舞うことを楽しんでいる。それが尊敬するラクスへの愛を表現する行為であるとミーアが信じこんでいること、また自分が誰かの役に立っているという満足を得られることが、彼女にとって何より大事なことだからだ。だからこそ、婚約者であるアスランとの距離をどんどん詰めていくのも、ラクスになりきったミーアにとってはごく自然な行為なのだ。
しかし、そんな彼女の純粋な思いは結局プラントのプロパガンダに利用されることに。ミーアもまた、ステラとは違う形で描かれる「戦争の犠牲者」なのである。

そして、戦争の悲劇はオーブ側でも描かれていく。ウズミ亡き後のオーブの実権を握ったウナト・エマ・セイランは地球連合に弱腰な対応で臨み、その息子ユウナは言われるままにミネルバを追撃する艦隊を率いて出撃する。艦隊の実質の指揮官となるトダカ一佐は、かつて家族を失った直後のシンを保護した心ある軍人であり、日和見なユウナの態度に呆れながらもその眼差しは未来を見つめ、最良の選択を目指すべく奮闘するのだが……。

繰り返される戦いの中でひとつ、またひとつと生まれる諍いと誤解と疑惑――傷つき、さ迷いながらもそれぞれの希望を見つけようとする人々の願いはどんな形で叶えられ、またどんな形で潰えることとなるのか。
白熱するインパルス、セイバー、フリーダムやファントムペインの機体による壮絶なMSバトルは爽快なカタルシスと共に、残酷な展開をもたらすことになる。『それぞれの剣』は、各キャラが抱えるドラマの大きなステップボードとなる重要かつ必見の1作なのだ。

>>>激化するMSバトルと魅惑のヒロインに注目!「それぞれの剣」場面カットを見る(写真14点)

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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