• 『ガンダムSEED』の終着点「鳴動の宇宙」が示す希望と絶望のドラマ
  • 『ガンダムSEED』の終着点「鳴動の宇宙」が示す希望と絶望のドラマ
2023.09.22

『ガンダムSEED』の終着点「鳴動の宇宙」が示す希望と絶望のドラマ

(C)創通・サンライズ

ファン待望の「ガンダムSEEDシリーズ」最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月26日に全国の劇場で公開される。それに先駆け、『機動戦士ガンダムSEED』(HDリマスター)を3部作に、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(HDリマスター)を4部作に再編集したスペシャルエディションが劇場上映中だ。

全7作と共に「ガンダムSEEDシリーズ」の魅力を振り返るアニメージュプラスコラム連載第3回目となる今回は、9月22日公開の『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 鳴動の宇宙 HDリマスター』と共に、『SEED』の物語の締めくくりから見る作品のテーマ性に触れていきたい。

第3部にして、物語の締めくくりとなる完結編『鳴動の宇宙 HDリマスター』では、歯止めが効かない報復戦を経て、人類滅亡の可能性を孕みながらどんどんエスカレートしていく地球連合軍とザフトの戦いを中心にしたドラマが描かれていく。

地球連合軍の国防産業のトップにして反コーディネイターの政治組織「ブルーコスモス」の盟主であるムルタ・アズラエルは、核兵器の利用を可能にするニュートロンジャマーキャンセラーのデータを入手。これにより、地球連合軍はザフトの前線基地へ核ミサイル攻撃を実行、多くの犠牲を生むことになる。
この行動に激怒したアスランの父であり、プラントの最高評議会議長であるパトリック・ザラは、大量破壊兵器となる核エネルギーを使用したレーザー砲〈ジェネシス〉の使用を決断。まさに核の力による両軍の衝突による人類滅亡のカウントダウンが始まろうとしていた。

その最悪の事態を止めるべく、地球連合軍を離脱したアークエンジェル、オーブの残存兵力を搭載した宇宙戦艦クサナギ、そしてプラントの穏健派を代表するラクス・クラインが率いる宇宙戦艦エターナルは三隻同盟を結成。三隻同盟の中心戦力として、キラ[高岡1]はクルーゼ、そしてアスランは父・パトリックの暴走を止めるため最終決戦の地へと旅立つ――。

『機動戦士ガンダム』(以下、『ガンダム』)以降、ガンダムシリーズでは様々な戦争描写が描かれてきたわけだが、『SEED』の戦争描写で特徴的なのは「報復のための攻撃」が重ねて描かれることだ。
攻撃を仕掛けられた側が、その報復としてさらなる大きな攻撃を行う。憎しみの連鎖が生み出す本作の戦況のエスカレーションは、現在の世界情勢でも触れられる「核兵器による抑止の均衡」が破られた状況がどうなのかが描かれていくことになる。勝つか・負けるか、生き残るか・死に絶えるか――その二択でしか考えられなくなってしまう人の愚かさを、『SEED』は容赦なく暴いていく。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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