• 『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』藤井道人監督が「新たなラスト」で臨んだ映画化
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2023.11.15

『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』藤井道人監督が「新たなラスト」で臨んだ映画化

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会


――前作は風呂敷を思い切り広げていったわけですが、あの内容を綺麗に閉じるのは並大抵じゃないですよね。

藤井 そうなんです。しかも、ドラマだと物語を群像的に描けるんですが、この映画は草薙素子を主人公とした目線で追いかけるものにしているので、その辺りも大変でした。新規ラストシーンは古川にも共同演出で参加してもらって、『最後の人間』というサブタイトルにふさわしい場所に辿り着けたと思っています。

――Netflixシリーズ版を映画に変換する際に、藤井監督の中で何らかの物差しのようなものはあったのですか?

藤井 要は「語り口」の違いなのだと思います。Netflixシリーズ版は速射的にいろんな要素を投げていくものですが、映画は一定の時間の中でドラマやアクションを用いながら、「最後の人間」というラストへ観客を飽きさせず連れていく、ということを強く意識しました。

――編集の良し悪しをジャッジするのは、やはり体感を優先される感じ?

藤井 体感ですね。今回30バージョン制作したんですが……。

――30! それはすごいですね。

藤井 複雑な物語を語りながら観客の体温を上げていき、最終的に監督たちの思うラストへと持っていく、という流れをつかむためにああでもない、こうでもないと推敲を重ねるうちに、それくらいの数になってしまいましたね。

――今回のアニメの仕事を経たことで、何か実写の仕事に持ち込むことができたことはありますでしょうか。

藤井 アニメーションの世界観の作り込みは、かなり細かいところまで出来上がっていることがすごいと感じまして、ここ数作ではそういう取り組みをするようになりました。いつかは『SAC_2045』みたいな世界観を実写で表現してみたい、と思います。

――今回のコラボレーションは非常に相性が良く、作品的にも面白いものになったと思うのですが、今後もこういう取り組みの話が来たら受けますか?

藤井 いや、こういう仕事は今回がラストじゃないですかね。同じことを繰り返すのはつまらないし、どうせやるならアニメのスタッフとまったく別の形でご一緒したいです。その方がネクストステップになるじゃないですか。

――では最後に、公開を楽しみに待つ方たちに改めて本作に込めた思いをお聞かせいただけますか。

藤井 劇場のスクリーンや音響と共に改めて触れる完結編は、Netflixシリーズ版で観るものとは別の充実感や豊かさを感じてもらえると思います。神山監督や荒牧監督、そして自分たちが提示した『最後の人間』というサブタイトルに集約されたラストが、観る方の未来を生きていくための指針だったり思考の一助になればいいな、と愛をこめて作りました。劇場でお待ちしております!

藤井道人(ふじい みちひと)
1986年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014 年)でデビュー。以降『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20年)、『ヤクザと家族 The Family』(21年)、『余命10年』(22年)『ヴィレッジ』(23年)、『最後まで行く』(23年)など精力的に作品を発表。
2019年に公開された『新聞記者』は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門含む、6部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。

>>>公安9課が最大のピンチを迎える『攻殻機動隊SAC_2045 最後の人間』場面カットを見る(写真13点)

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

アニメージュプラス編集部

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