• 「夏のホラー秘宝まつり 2019」に小中兄弟最新作が!中丸シオン&高橋真悠&和哉監督に直撃!
  • 「夏のホラー秘宝まつり 2019」に小中兄弟最新作が!中丸シオン&高橋真悠&和哉監督に直撃!
2019.09.03

「夏のホラー秘宝まつり 2019」に小中兄弟最新作が!中丸シオン&高橋真悠&和哉監督に直撃!

『VAMP』(2019/日本/86分 R15)


ーーお二方はそれぞれ役を作っていくのはどうでしたでしょうか。

高橋 美以那の人生は、いくら撮影前に考えても、私が生きてきた人生では想像のつかないところにあるので、実際には現場に入ってからでした。現場に入って、自分の目の前で起きていることとか、目の前にいる方の演技を受けて、そこから吸収していってという感じでした。作ろうと思って作っていったっていう感じではなかったです。美以那としてちゃんと演じられていたかどうかわかりませんが、私自身がすごく傷を負うことができた、本当にちゃんと苦しめたので、そういう環境を作ってくださった皆さんに感謝です。

中丸 昨日今日と取材があるということで、久々に昨夜台本を読んだんですが、やっぱり苓という人は本当に複雑で難しい人だなと思いました。当時脚本を読んだときも、読み込めば読み込むほどいろんな疑問が出てきて、リアルを追求していくとこれはおかしいんじゃないかとか、これはなぜこうなるのか、なぜなぜだらけで(笑)。監督からの解答とか脚本に書いてあったりしたので、いろんな疑問が詰まっていたんだと思います。
そんな時、監督からある種のダークヒーローであってほしいって言われて、ちょっとほっとしたというか、それで空気穴が抜けて見えてきた事があって。二次元とまでは言わないけど、あまりリアルを追求する必要はないっていうお言葉をいただいて少し作りやすくなったいうのがあります。結構監督には、個人的にLINEをしちゃうほど(笑)、「これはどうしてですか?」とかしてましたね。

小中 そうでうね、中丸さんは理解したい人だから、全部ちゃんと解釈したいっていうタイプなんですよね。それはいい事だと思うんです、それがストレートに生きる役の場合。でも今回は美以那視点だから、ある種モンスターとしての苓が現れて、徐々に彼女の気持ちもわかっていく。
映画で描かれない苓の裏歴史というか、苓のお母さんの事とか最初のプロットにはすごくいっぱい描かれていて。わりとその辺の歴史は兄貴がネチネチと作っていたんですけど、ちょっとそれが撮影するのが困難な話だったので、バッサリカットして匂わす程度にしたんです。
でも兄貴の中ではリアルを構築するには一回それをやらないと気がすまない。まぁ、そういう意味ではちょっと似てるのかもしれないですけど(笑)。

中丸 ああ、そうなんですね(笑)。

小中 映画としては美以那目線で、苓は謎の人物として現れて、どうなっていくんだろうという興味で引っ張りながら想像させる役だから、全部説明しなくていい。そういう意味ではある種記号的な存在としてあって、それをリアルに演じるためにはどうすればいいのかという発想をしないと演じきれない役だったかもしれない。

中丸 そうですね。

小中 演出家目線ではそうだったし、演じる側目線ではそうではなかったかもしれないけど、常に演出する側としては、「役の視点からしたらこうだよ」って言われるのはとっても面白いし、演出の全体的な目線ではわからなかったことが感じられて、取り込めるところは取り込んでいくんだけど、でもどこかで「そこはいいよ」っていうラインがあるんですね。

中丸 そうですよね、映画を全体で観ますからね。

小中 そういう時に思い出すのが実相寺(昭雄)監督の話でね。実相寺さんは役者はオブジェでいいっていう割り切りをした人だけど、決して芝居を軽んじてたわけじゃなくて、常連さんの信頼できる役者さんの芝居がほしかったから、そういう人をキャスティングし続けていたんですよね。でも一番気になるのは映像の部分だったりした人だから。
堀内正美さんなんかに直接聞くと、ワイドレンズであおって顎が1ミリ上がるか下がるかで変わって見えちゃうから、実相寺さんはそこを厳密に指定する。芝居のことは言わずに、「もうちょっと1ミリ下げて」みたいな事を言う人だったの。つまり芝居はもう堀内さんに任せてるから何も言わない。でも他の役者さんは戸惑うわけですよね。初めて実相寺組に来て、「何で?」となる。でも寺田農さんとかね、常連の人達はもうそれをわかってやっているわけ。
実相寺さんのは極端だけど、でも役者っていうのは両面ないといけない。主観で役の気持ちを演じる事はもちろんだけど、映ってナンボでオブジェに徹する部分もね。それは堀内さんとかと話してるとそういうことを思います。

中丸 なるほど、そうなんですね。

文/村北恵子

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事