• 【おそ松さん特集08】藤田陽一と浅野直之の第2期所信表明!
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2020.10.07

【おそ松さん特集08】藤田陽一と浅野直之の第2期所信表明!

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

『おそ松さん』第3期放送開始を記念し、月刊アニメージュのバックナンバーに掲載されたインタビューを再掲載して6つ子の世界の魅力をあらためて紹介する特集「おそ松さんを6000倍楽しもう!」
今回は2017年11月号掲載の監督・藤田陽一とキャラクターデザイン・浅野直之の対談インタビューだ。
第2期放送スタート直後の発売となったこの号、インタビュー内容もOAされたばかりの第1話の内容が中心となっている。
冒頭、モノクロの『おそ松くん』風映像ではじまった第2期第1話は、人気者になって堕落した6つ子たちが、やがて心を入れ替え「ちゃんとしよう」と決意、それぞれにイマドキ風の「ちゃんとした」キャラクターに変貌して再登場する、というストーリー。
毒気たっぷりの攻撃的なエピソードについて語る言葉は、そのまま『おそ松さん』第2期に向けての「所信表明」になっている。

>>>『おそ松さん』特集の全容はこちら!

容赦なき所信表明!! 〜第2期スタート記念対談〜
藤田陽一【監督】
 ×
浅野直之【キャラクターデザイン】

衝撃の第1話、そのコンセプトを激白!

——第2期、いよいよスタートしましたね。

浅野 いやぁ……間に合って良かった、順調で良かった。

藤田 ははははは(笑)。

浅野 この間、作品を少しお手伝いした時に結構「これ、放送間に合うの?」みたいなこととかあったので(笑)。それに、ネットとかも一応見たりはするんですが、第2期の新しい情報が出ると反響があったりして、それだけ期待してくださる人もいるみたいで……。

藤田 そうだね。取材の数とか見てると、すげえ期待されてんのかと思ったり。

浅野 なかには、話題にもならない作品とかもあるじゃないですか。それでいうと、すごく幸せな作品なんだなと思いますねえ。

藤田 ははははは(笑)。まあね。

——実際、制作は順調ですか?

藤田 淡々とやってますよ。別にあんまりプレッシャーも感じてないし……この緊張感のない感じは、第2期だから?

浅野 そうですねえ。あんまりこう……1回売れたから、もう売れようが売れまいが知ったこっちゃねえって気持ちもまあ、あったりはしますね(笑)。

藤田 第1期も自分たちがおもろいと思うことをやった結果、反響がもらえたってことだから。プレッシャーというより、自分たちがちゃんとまたおもしろく作れるかっていうところのほうが大きいですね。

浅野 変に意識してしまうと、そのほうが良くないかもしれないし。

藤田 「ウケないと」みたいな? 浅野さんがそんな風に考えたら、それはそれでちょっとおもしろいけどね(笑)。

浅野 いやぁでもね、そこは多少は考えますよぉ……。

藤田 本当? それはでも、今より第1期の後半くらいのほうがあったんじゃない? 6つ子が思った以上のああいう跳ね方したから、そういう感じで意識して描かないと、みたいな。

浅野 ああ、特に描き下ろしとかはそういう意識、意外とデカいかもしれないですね。あんまり変な顔はさせられないな、とか。

——「かわいく描かなきゃ」的な意識が?

浅野 あの……小学校2、3年生くらいの子からいただいたファンレターを読ませてもらったんですよ。「いつもたのしく『おそ松さん』をみてます。わたしはトド松くんがすきです」みたいな、平仮名だらけの手紙。で、話数によってはいろいろアレな感じの表情とか描かなきゃいけないこともありますけど、そういう子に悲しまれたり怖がられたりしたらどうしようかなとか、ちょっと考えちゃうことはありますねぇ。

藤田 マジすか、そういう子にトラウマを植え付ける、絶好のチャンスじゃないですか(笑)。そこでトラウマになったら僕らの将来のお客がもっと増える。

浅野 そこまで藤田さんのような残酷さは、自分にはまだないのかもしれない(笑)。もちろん、あまり考えないようにはしてますけど、まあ……とはいえ好かれたいし(笑)。

藤田 はははは(爆笑)

——(笑)。藤田さんには当然、そんな気持ちはないんですよね。

浅野 ないですよね。今のところの藤田さんの仕事ぶりを見ていると。

藤田 そうかな? 真面目に答えると、好かれようとは思ってないけど別に積極的に嫌われようとも思ってない、というところでバランスは取ってるかな。下ネタにしたって、あくまで生々しくなりすぎないように、とか……。作中で言ってること、やってること、一歩間違えると結構どぎついから。そこはほんのちょっと、気を遣ってやってはいますよ。

——とはいえ第2期の第1話、さっそく結構なモノになってましたよね?(笑)

浅野 そうですね(笑)。

藤田 まあ、第1話はお祭り&所信表明なんでね。

——今回も手は抜かないぞ、容赦はしないぞという所信表明ですか?

藤田 ……内輪への警告みたいなもんじゃないですか、どっちかというと(笑)。

一同 (笑)。

藤田 「もうちょっと足下を見ようぜ」っていう。

浅野 作り手側に向けて。

藤田 自虐じゃないけど、自分らのポジションをはっきりさせたいなぁっていうのはありましたけどね、漠然と。お客さんが湧いてくれるのはありがたいんですけど、内輪がそれに浮かれすぎると良くないな、と。そもそも、最初はそんな感じじゃなかったじゃん、この企画、というね。

浅野 オレも脚本読んだ時は、松原(秀)さんヤルなぁと思いました。本当にブラックな感じで、身近なところをチクリと(笑)。

藤田 はははは(笑)。あとはまあ前回、幸いにも売れたんだから、その資金を無駄に投入していきたいなということで、3DCGだったり実写合成だったり、お金をかけてみました。

——基本のプロットは松原さんのアイデアですか?

藤田 基本、自分と松原くんと二人でワイワイしゃべりながら考えましたね。自分として絶対やりたかったのは、白黒ではじめることです。『おそ松さん』で売れたけどあくまで『おそ松くん』があってこそっていうのがあるから、そこは絶対にやりたかった。

——冒頭の「ふっかつおそ松さん」にはそういう意図もあったわけですか。

藤田 まあ、赤塚不二夫さんの原作なくして成立しない企画だってことは、大事にしたいなと。

浅野 自分も白黒パートは描きたいなと思いましたし、実際描いて楽しかったですよ。

——浅野さんも今回は、第1話から本編作監にも入られていましたね。

浅野 そうですね、本当はやりたくなかったんですけど。

藤田 ……ははははは(爆笑)。

浅野 第1期はあまり本編をやってなくて。第1期でちゃんと1話分作監をやったことがなかったんですよ。ほとんどお手伝い程度と、あとはOPくらいで。

——デザイン作業がお忙しいですからね。

浅野 だから周りに「あいつ、本当に描けんのか?」って思われてたらどうしよう、と思って。

藤田 「デザインばっかりやってて、本当は描けなくなってんじゃねえのか?」みたいな(笑)。

浅野 そう「ちゃんとオレもおそ松、描けるよ」ってことを証明するためというか、キャラクターデザインとしての威厳を保って、「版権だけ描いて稼ぎやがって」みたいな不満を押さえつけるために(笑)。

一同 (笑)。


(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部

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