• 安彦良和がキャリア史で明かしたアニメージュとの「思い出」と「別れ」
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2021.01.07

安彦良和がキャリア史で明かしたアニメージュとの「思い出」と「別れ」

初めて表紙イラストを手がけたアニメージュ79年9月号を手にする安彦さん



――いろいろとお話頂き、ありがとうございます。では最後に、安彦さんは、「この本をこう読んでもらいたい」みたいな思いはありますか?

安彦 うーん……この本は(自分の過去を)隅から隅まで触られちゃったし、自分の記憶の限りですべてを喋ってしまったから、「どうとでもなれ!」という感じかな(一同笑)。ここまであっけらかんとしちゃうと、それ以外ないよ。

――すっかり丸裸になってしまった、と。

安彦 かみさん風に言えば「よくもまあ恥ずかしくもなく」ってことなんだろうけど(苦笑)、こういう機会をいただけたのは嬉しいですね。

――ファンにとって何より嬉しい話なのは、安彦さんがいまだに現役で活躍されているので「これまでのキャリアをふり返る」という行為がノスタルジーになっていないことなんだと思うんです。

安彦 ああ、筆を置いた後で昔をふり返る、というは確かに少し寂しいかもなァ。今回は良い形・良い機会をいただけたと思います。

石井 そう言っていただけるとありがたいです。僕は現在アニメ業界をメインにお仕事をさせていただいていますけれど、元々ジャーナリストを目指していたこともあって、人の生き様をテーマにした本を手がけることが夢だったんですが、それをするには書く意味がある、しかも自分と近しい距離がとれる人物が必要だと思っていたんです。
そういう意味では、こうして安彦さんに信頼して頂いて、ざっくばらんに話していただけるタイミングで、自分自身の夢を叶えることができた一冊だと思っています。

あと安彦さんのことを天才アニメーターみたいに考えている人も多いと思うんですが、いくつもの挫折を経て現在があるということを、この本で改めて知ってほしい、という思いもありますね。

――いや、むしろ葛藤の記録でしょう。

石井 僕もそうだと思うんですよ。

安彦 よく俺に「あなたは有名だから」っていう人がいるんですけど、そんなわけないですよ。名前を伝えると「苗字を言ってください」なんていまだに言われるもの(苦笑)。アニメと漫画を股にかけて仕事をしてきたせいもあるかもしれないけど……。

――本当ですか? 今はそれ、通らないと思いますけど!

安彦 だったら、もっと本が売れてると思うんだけどなァ(笑)。

石井 でも絵を見たら絶対「知ってる!」となるわけじゃないですか。そういう存在もいないと思うんですよね。

安彦 そういう意味で、自分は「知ってる人は知っている」クリエイターの走りだとは思います。そういう立場でやれているのはありがたいとは思うんですが……「俺って何さ?」という気持ちもまだあるんです(笑)。そういう意味では、俺のことを知らない人がこの本を手に取って「え、こいつ、こんなにたくさん仕事をしていたんだ?」と気づいてもらえると嬉しいかな。

「安彦良和 マイ・バック・ページズ」

発売中/本文554ページ/本体2200円+税/太田出版



やすひこ・よしかず
1947年、北海道出身。70年に虫プロに入社、73年からフリーに。『宇宙戦艦ヤマト』(74年)、『勇者ライディーン』(75~76年)、『超電磁ロボ コン・バトラーV』(76~77年)などの作品に関わったのち、『機動戦士ガンダム』(79~80年)でキャラクターデザイン・作画監督を務め、一大ブームを巻き起こす。89年に専業漫画家に転進、『ナムジ 大國主』『虹色のトロツキー』『王道の狗』などの歴史物を発表。2001年から11年まで執筆した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のOVA全6章(15~16年)で総監督を務め、25年ぶりにアニメの現場に復帰。現在、「月刊アフタヌーン」で『乾と巽 -ザバイカル戦記-』を連載中。

いしい・まこと(右)
1971年生まれ。茨城県出身。アニメ、映画、特撮、ホビー、ミリタリーなどのジャンルで活動中のフリーライター・編集者。

アニメージュプラス編集部

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