• 『COWBOY BEBOP 天国の扉』が描き出す〈割り切れない〉物語とアクション
  • 『COWBOY BEBOP 天国の扉』が描き出す〈割り切れない〉物語とアクション
2022.11.19

『COWBOY BEBOP 天国の扉』が描き出す〈割り切れない〉物語とアクション

(C)サンライズ・ボンズ・バンダイビジュアル

11月20日(日)の19時よりBS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉にて、2001年に劇場公開されたアニメ映画『COWBOY BEBOP 天国の扉』が放送される。
本作は1998年に放送されたTVシリーズ『カウボーイビバップ』の劇場版。
それまでのアニメにはなかった、多彩で独特の世界を展開するSFアクション作品として、日本国内はもちろん海外でもいまなお多くのファンを惹きつけ続けている。

舞台は2071年の太陽系。悪化する治安を維持するための対策として、指名手配犯を捕らえる賞金稼ぎ=カウボーイが活躍する未来。
カウボーイ稼業を営むスパイク・スピーゲルは、仲間と共に宇宙船ビバップ号に乗り込んで、大物の賞金首を狙って宇宙を駆け巡り、行く先々で様々な騒動に巻き込まれていく……。
監督・渡辺信一郎、シリーズ構成・信本敬子、キャラクターデザイン・川元利浩、音楽・菅野よう子といった腕利きのスタッフが集結して作り上げたTVシリーズは、時にクールでハードボイルドタッチ、時にオフビートなコメディ風味、時に奇妙な不条理劇、時にエモーショナルで切ないドラマ、あるいはスピーディーなアクション……各話ごとに多彩なスタイルのエピソードが繰り広げられていく。
渡辺監督はTVシリーズの段階から各話を “20分の映画” という意識で作っていたそうだが、本作『天国の扉』はそんなTVシリーズのエッセンスをしっかりと凝縮しつつ、TVアニメの劇場版に収まらない “1本の映画” として確かな魅力を放つ作品に仕上がっている。

火星の都市・アルバシティで生物兵器を使用したと思われるテロ事件が発生、犯人には3億ウーロンという破格の賞金が懸けられた。賞金を手にすべく犯人を捜し始めたスパイクたちは、謎の男・ヴィンセントと対峙することになる。
スパイクとヴィンセント、それぞれの“事情”を抱えた男たちの死闘の結末とは……?

“映画らしさ” とは何かーーそれを定義することは難しいが、それでもなお本作は確かに「映画を観た」という手応えを感じさせてくれる。そのヒントとして、渡辺監督はインタビューで以下のように語っている。

「『天国の扉』の個人的なテーマとして『はっきり割り切れないものを描く』というのがありました。つまり、『明確な悪』を倒して痛快に終わるという物語にはしたくなかった」
「自分が好きな映画も昔から、どこか割り切れないものが多かったんですよ。消化しやすいものだけが、身体に良いわけじゃない。消化しきれないからこそ心に残るものも、大事なんじゃないか。そういう自分の映画体験をベースに劇場版を作ってみたい……劇場版の尺があれば作れるんじゃないかと思いました」(月刊アニメージュ2016年7月号)

本作の “はっきり割り切れないもの” とは、つまり敵役として登場するヴィンセントだ。
彼が凶行に及んだ理由、彼を突き動かした感情――善と悪、共感と反感の狭間で揺れる不明瞭さ、さらに、それに向き合ったスパイクの心情。
それこそが、この映画の軸となっている。
▲手前がスパイク。ニヒルで飄々とした佇まいの背後に、重く複雑な過去を隠している
▲スパイクの前に立ちはだかるヴィンセント、彼が凶行に及んだ理由とは……?
▲対峙する2人、クライマックスに繰り広げられる激闘の見どころとは……!?

(C)サンライズ・ボンズ・バンダイビジュアル

アニメージュプラス編集部

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