• サウンドもお祭り「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」録音秘話
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2022.12.14

サウンドもお祭り「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」録音秘話

左から大石憲一郎、松浦大悟、穴井健太郎


★9人のキャラクターを描き分ける紹介ソングの醍醐味★

――完成した楽曲についてのそれぞれの手応えはいかがでしょうか?

穴井 僕は制作を始めて8年目なんですけど、「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」が、これまでで一番長い曲になりました。基本的に僕は短い楽曲が好きなんですけど、前任の八木(仁)の時代はイントロが長い曲が多かったんですよね。ちょうど20周年で話題になっている『爆竜戦隊アバレンジャー』のエンディング(「We are the ONE ~僕らはひとつ~」)とか。

松浦 ああ、あれはまたすごいですよね。

大石 壮大なイントロが付いている『魔法戦隊マジレンジャー』の主題歌も八木さんの時代ですね。

穴井 大石さんとやると、『テン・ゴーカイジャー』の「スーパー戦隊ヒーローゲッター~テン・ゴーカイジャーver.~」をはじめ、どうも長くなりがち。

大石 いやいや、それは単に内容が多いんですよ(笑)。

松浦 大石さんなら、やってくれるだろうと全員が思ってます!

大石 「ヒーローゲッター」は『海賊戦隊ゴーカイジャー』の後で2回追加していて、「テン・ゴーカイジャーver.~」は作りやすかったんですけど、大変だったのが『動物戦隊ジュウオウジャー』の「スーパー戦隊ヒーローゲッター 2016」。あれは2コーラスで40戦隊分まわすと言われて(笑)。それでAメロはなくしていきなり紹介パートから入ったりと工夫しました。でも、「ヒーローゲッター」は各々の紹介部分は短いから、今回とは全く違うんですよ。

松浦 「ヒーローゲッター」は、各戦隊のキャッチコピーを詰め込むみたいな感じですか?

大石 そうですね。それと比べると、「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」は、ひとつひとつを色付けしていくような作業でした。しかも普通、1~3番まであるとしたら全て同じメロディになるわけですが、今回は9人全てのメロディが違う(笑)。そういう意味でのカロリーの高さもありましたね。

穴井 細かい部分で違いがあり、なおかつ1曲として成立させると。そこがすごく練られているんですよね。

松浦 それがドンブラらしさになったと思います。

――サビは共通とはいえ、実質9曲あるみたいな(笑)。

大石 ええ。9倍の労力とまでは言わないけど(笑)、それこそが紹介ソングの醍醐味でもありますね。これくらいの尺があるとひとつひとつをちゃんとキャラ付けできるので、そこは自分としても面白くできたんじゃないかなと思っています。

松浦 それと今年一年、穴井さんと密にやらせていただいて、すごいなと思ったのが、編曲の力。

穴井 一般の方からすると、作業としては一番曖昧な部分かもしれませんね。

松浦 音楽はよく聴く方なのですが、これまで注目していたのは作詩家さんか作曲家さんだけだったりしていて。それが音楽制作を垣間見るようになって、編曲のすごさを感じました。

穴井 サビに入る前の展開も1、2、3番と全て違っていて、その辺りも大石さんが実に上手くやってくださいました。1番のタロウからはるかのサビなんかは割と正当な繋がりになっていますが、ドンドラゴクウで締めて2番のサビに入る箇所は、「おやおや、ここでフュージョンか!?」と思わせる実にお洒落なアレンジになっています。

松浦 猿原パートは和のアレンジが入って、「さすが大石さん、すごいな!」とひとりで拍手したくらいです。

穴井 アレンジの力で空気が変わりますよね。

松浦 桃谷ジロウのパートも中華サウンドになっていますね。

大石 ソノニのパートはガラッと雰囲気を変えたのですが、あそこだけめっちゃ力入れているんじゃないかと思われやしないかと、ちょっと心配です(笑)。

松浦 「大石さん、はるかじゃなくてソノニ派か?」みたいな謎の邪推が(笑)。

大石 いやいや、9人全員に思い入れがあります!(笑)。ただ、脳人の3人はドンブラザーズとはキャラ的にも全然違いますからね。

松浦 2番までで桃井タロウから桃谷ジロウまでの6人を紹介して、そこから脳人に入るところで、またちょっと違うギターの音が入っているんですよね。

大石 歌録りの段階では2番も3番も同じアレンジだったけど、ちょっと変えたいと思って、(サイキックラバーのギタリストの)IMAJOに「雰囲気を変えたいから」とギターソロを入れてもらいました。それこそ、最初はちょっと長めの間奏を入れる案も考えていました。

松浦 あのギターソロが耳に残るんですよ。

大石 あれはやってもらって良かったですね。

松浦 ここからは「俺達の時間だぜ!」とソノイたちが言っているみたいな気がします。

穴井 今回はこれまでの様々な流れを踏まえ、みんなで「ああじゃない」「こうじゃない」と作り上げたので、自分の中でも本当に忘れられない1曲になりました。

松浦 本当に感慨深いですね。

(C)テレビ朝日・東映AC・東映

アニメージュプラス編集部

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