• 【2022年アニメ総括】『水星の魔女』『ぼっち・ざ・ろっく!』注目すべきTVアニメ
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2022.12.31

【2022年アニメ総括】『水星の魔女』『ぼっち・ざ・ろっく!』注目すべきTVアニメ

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』キービジュアル(C)創通・サンライズ・MBS


【『うる星』『チェンソーマン』など話題作の手応えは?】

編集長 あと我々の世代にとって気になるタイトルといえば、やはり『うる星やつら』ですよね。

藤津 個人的に一番ドキドキしながら観ているのが『うる星やつら』ですね(笑)。それは内容の問題ではなくて、自分の記憶との葛藤といいますか……。
まず確認しておきたいのは、昔のアニメ『うる星やつら』も決して全話が大傑作だったわけではないということ。あとギャグアニメは90年代に大地丙太郎さんや桜井弘明さんの登場で、めちゃくちゃ「加速」したので、今の目線で観ると間延びした印象になるところもあると思います。
僕は時々、頭の中で『うる星やつら』をリメイクしたら……と妄想していたんですけど(苦笑)、その時は、面堂のツッコミ役の度合いを上げて、スピードを上げていくしかないんじゃないかなと思っていたんです。まあ、勝手な妄想ですが。その時は『おそ松さん』のチョロ松。つまり神谷浩史さんが演じて、自身もボケつつ突っ込みまくればいいんじゃないかと思っていたら、神谷さんがまさかのあたる役で(笑)。

編集長 でもあたる役の神谷さんと面堂役の宮野真守さん、それぞれバッチリ演じてくれていますよね。

藤津 そう、さすがの上手さです。キャラクターデザインとキャストは本当に「そうそう」という気持ちがいます。ただ僕はリアルタイムではアニメより原作に親しんでいたので、あの頃の原作がそのまま現在のクオリティで再現されているのを観ていると「……ここはどこだ? 今は何年だ?」みたいな気持ちになって(笑)。

編集長 時空がねじ曲がった感覚が(笑)。

藤津 良い意味で迷い込む感覚ですよね。『SLAM DUNK』のように今の人に向けてまっさらな気持ちで作った感じでもなく、かといってオジサンだけがターゲットでもないし。

編集長 カラフルでポップな80年代イメージは、懐かしさというよりは今それを新鮮に受け止めている若い世代に向けてのアピールを感じます。

藤津 そう、浅野直之さんが現在の流行を上手く取り入れてリファインしたキャラクターと、ポップな色彩設計はやはり成功していると思います。気楽に楽しんで観られるアニメなのは間違いないので、もう少しスピード感でギャグが弾けてほしいなという気もしますね。
▲80年代の世界観をポップな方向にアップデートして展開する『うる星やつら』/(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会

そうだ、同じように時空を越えている感じで言うと『東京ミュウミュウ にゅ〜▲(▲=ハートマーク)』や『令和のデ・ジ・キャラット』もありますね。特に『デ・ジ・キャラット』は今回もぷちこを沢城みゆきさんがやっているという驚きやタイムスリップ感に、何となく癒されます(笑)。

編集長 あと今年の話題作といえばもうひとつ、『チェンソーマン』はいかがですか。

藤津 『チェンソーマン』は何と言うか……立派なアニメ過ぎて、「少しは隙があってもいいんですよ?」という気がしますね(笑)。

編集長 ああ、何となくわかります(笑)。「全方位の期待に応えよう」という気迫を感じる出来ですよね。

藤津 もっとも、あのレベルで全編コントロールをしているわけですから、非常に立派な作品だと思います。原作は少しヒネくれていて、ポップとシリアスの絶妙なバランスが独特の味になっていますよね。でも、アニメの表現ってポップな方向に振り切れがちなので、アニメはあえて「抑えて、抑えて」と言う方向で演出や絵作りをしているところが特徴的だと思います。でも話数を重ねていくごとに、「隙を作らない」というところを経て、アニメの『チェンソーマン』のテイストが定まってきた印象もあるので、この続きが楽しみですね。

アニメージュプラス編集部

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