• 『君たちはどう生きるか』スタッフが語るドルビーシネマならではの「こだわり」
  • 『君たちはどう生きるか』スタッフが語るドルビーシネマならではの「こだわり」
2023.09.26

『君たちはどう生きるか』スタッフが語るドルビーシネマならではの「こだわり」

『君たちはどう生きるか』(C)2023 Studio Ghibli


音響面で一番アトモスが効いているところについては「実は5.1・7.1とアトモスの差は、サラウンドチャンネルだけです。例えば、建物の外と中での環境音の広がりの違いで聞き取りやすいと思います。室内のシーンではトップ(スピーカー)はあまり使っていませんが、屋外ではトップを使って広がりが感じられるようにしています」(古城さん)という回答がされた。

宮﨑監督から具体的な指示はあるのか、という問いに「これがすごく少ないんですよ。打ち合わせもあまりやりませんし。宮﨑監督の絵コンテを読み解く日々です」と古城さんは苦笑しながら答えた。
「例えば、あるシーン……ドアノブのシーンなのですが、そのシーンの絵コンテには『なぜか無音になる』とだけ指示が書いてありました。なぜそこが無音なのかを自分なりに読み解いて今の形になっているのですが、時には1日中そういう疑問で悩んでしまうこともあります」(古城さん)
▲古城環さん

一方、奥井さんは「(宮﨑監督が)どうして欲しいかは、何となくわかるんですよ。なので、私なりに考えて仕上げた映像をチェックしてもらう時もたいがい何も言われないですね。長年やって来たこともあるんでしょうけれど、ただ指示通りやればいいというものではなく、宮﨑監督が想定している映像であるものにプラスしたショットを目指しています。そのプラスしたものを目指す際に、ドルビーシネマの技術は大きな武器になるんじゃないでしょうか」と、今後の期待を語る。

過去のジブリ作品をドルビーシネマ化できないのか、という質問に、古城さんは「技術的には可能だと思いますが、過去作のリニューアルはあまりしない方針ですし、(ジブリの)今後の重大な運営の指針にも関わってきます。やるかやらないかはわからないですね」と答えたが、もしこの技術を用いることができるならば「個人的には『千と千尋の神隠し』のアトモス版は観たいですね」(古城さん)、「映像的には全部やり直したいくらいです(笑)」(奥井さん)と、それぞれの気持ちを明らかにした。

最新テクノロジーを取り入れながらも、その技術に溺れることなくベストチョイスを探っていくスタジオジブリのスタッフ。たくさんのファンに支持される作品は、このこだわりから生み出されているのだ。

>>>スタッフの熱意が呼ぶ感動!『君たちはどう生きるか』場面カットを見る(写真19点)

(C)2023 Studio Ghibli

アニメージュプラス編集部

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